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新時代の燃料「バイオエタノール×ガソリンで走る」スズキジクサーを取材!

公開日: 2025/07/28

更新日: 2025/08/06

BDSテクニカルスクールの井田講師が、「人とくるまのテクノロジー展2025」におけるスズキの注目展示を解説します。特に、巨大なインド市場で先行販売されている2つの革新的な二輪車、新世代燃料に対応したバイク「GIXXER SF 250 FFV」と電動バイク「e-ACCESS」に焦点を当て、その魅力と未来への可能性を探ります!

GIXXER SF250 FFVは次世代燃料に対応したモデル

皆さん、こんにちは! 二輪専門の整備士養成講習を行っておりますBDSテクニカルスクールの井田と申します。今日は「人とくるまのテクノロジー展2025」に来ております。今日はスズキさんのブースにいるんですけれども、二輪の車両が展示してありました。これは「GIXXER SF250 FFV」です。ただのGIXXERじゃないんですね。

「GIXXER SF250 FFV」は何がすごいのかって、見た目は通常のGIXXERと変わらないんですけれども、これはサイドカウルに「FLEX FUEL」と書いてあるんですね。どういう意味なのかというとバイオエタノールとガソリンが混ざったものを使えますよという仕様のエンジンです。以前はバイオエタノールとガソリンがそれぞれ専用に扱われていました。今回のすごいところは、両方を混合して使用できる「フレックス燃料」に対応した点です。実際にこのスペックを見ると、85%までバイオエタノールに入っているガソリンに対応しています。だから、混合割合が多少変化しても使えます。

今、このインド市場でもう既に先行で販売されているんですけれども、インドは今のガソリンの中に大体20%ぐらい、もう既にエタノールが混ざってるものを売っているらしいんですね。そのような環境下でも使用可能です 。「なんでそれをやるの?」というと、カーボンニュートラルの実現という目標があります。バイオエタノールは、サトウキビとかトウモロコシといった植物由来の燃料なので、それを使って二酸化炭素が排出したとしても、結果的にはエコだよねというふうな考えです。

スズキさんはいろいろなアプローチをしています。例えば、牛糞から燃料を作ったりとか、バッテリーのEVを作ったりとか、いろいろなことをやってるんですけれども、その中の一つの手段としてバイオエタノールに対応しているものを作っていますね。インドは二輪の市場規模がものすごく大きいんですよ。大体年間売れているのが2000万台ぐらい。使い方でいうと、一つのバイクに家族全員乗りますよとか、荷物も積めるだけ積むとか。

また、リアタイヤの横に付いている柵のようなものは「サリーガード」と呼ばれます。これは、民族衣装のサリーを着た女性が横乗りする際に、サリーがタイヤに巻き込まれるのを防ぐためのものです。こうした独自のニーズから、インド市場向けのバイクは非常に頑丈に作られています。インドは市場規模も大きいというところで、やっぱりスズキさんは力をかなり入れているんですね。

最近、ニュースでも見ましたけれども、日本でもガソリンにちょっとバイオエタノールとか混ぜてるものを使っていきましょうという風な流れがありますので、この基礎技術を持っているスズキさんは、今後いろいろな多機種展開等をおそらくしてくるんじゃないかなと私は勝手に思ってます。フレックス燃料の普及が楽しみですね!

e-ACCESSはインド市場に最適化された電動バイク

次に、もう一つの製品である 「e-ACCESS」を紹介します。インド生産の電動バイクです。やはりインドは市場規模がかなり大きい。その中でも大体電動バイクの主要市場は10%ぐらい。つまり、年間200万台程度を占めているんですね。

担当者に電動インフラはどうなんですかと話を聞いたら、電源はどこでも取り放題みたいな感じらしいです。だから壁があったら電源を勝手に引っ張ってきちゃって、つないで充電できますよみたいな環境らしいので、電動化への動きが非常に活発なようです。日本の国内でGachacoやコンソーシアムなどホンダさん中心になって色々なことをやってますけれども、電源事情が異なるため、e-ACCESSはインドの環境に合わせて専用に開発されたということですね。

e-ACCESSは二人乗りとして販売されていますが、インドの国民性を考慮すると、実際には家族5人全員が乗ることも想定されています。そのため、シートやフロアはできる限りフラットにし、多くの人が乗ってもへこたれないような頑丈な仕様で作られているんです 。いや、なかなか面白いですね。

また、インドの電源が200Vであるのに対し、日本は100Vです。もしe-ACCESSを日本市場に投入するとなると、充電システムには何らかの変更が必要になるかもしれません。しかし、開発担当者に話を聞いたところ、出力はコンピュータで自由に調整できるため、日本の法規制に対応させることはそれほど難しくないという見解でした。なおかつ、インドでたくさん売っているものをもし仮に日本に持ってきたら、量産効果で価格はスズキさんはもうお手頃価格で出してくれると思いますので、こういったものも今後期待できるんです。ということで、スズキさん見てきましたけれども、車両を見ていると、本当に発売してくれるんじゃないかな。

日本でも手に入りそうな車両の展示が多かったですね。コンセプトモデルではなくて、本当に形にして、実際もう作り込んで売っていくぞというのがなんとなく見えるようなブースだったので、今後のスズキさんのラインアップには期待して良いのではないでしょうか。普段、私は二輪専門の国家資格である整備士養成講習を担当しております。今日のような最新技術の話題はもちろん、他では聞けないような実践的な内容も講習でお伝えしておりますので、もし二輪整備士の資格取得にご興味がありましたら、「BDSテクニカルスクール」のHPをご確認ください!

【BDSテクニカルスクール講師 井田安彦】 BDSテクニカルスクール講師
保有資格
2級二輪自動車整備士、2級ガソリン自動車整備士、2級ジーゼル自動車整備士、自動車検査員、二輪車安全運転指導員

★2・3級二輪自動車整備士を目指す方必見!
3年連続、3級二輪整備士国家試験で合格率100%を達成
令和6年度第2回試験の「「3級二輪自動車」では、全国合格者の4人に1人がテクニカルスクール受講生
BDSテクニカルスクールHPhttps://www.bds.co.jp/technicalschool/



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