公開日: 2025/08/29
更新日: 2025/09/09
オフロードライディングを楽しむためのクラシック・エンデューロ・モデル「新型BMW R12G/S(アール・トゥエルブ・ジー・スラッシュ・エス)」を、バイクジャーナリストの小林ゆきさんがポジションと足つきをチェックしました。オフロード向けのサンドカラーと、ストリート向けのホワイトカラー、2種類のモデルの違いに注目です!
こんにちは! バイクジャーナリストの小林ゆきです。今日は、BMWのニューモデル発表会に来ています。今回の目玉モデルは、R12G/S。この「スラッシュ」が付いているのがミソなんですよね! スラッシュが付いていない「GS」もありますが、こちらは「G/S」。これはGeländesport(オフロードスポーツ)ではなく、「Gelände(オフロード)」スラッシュ「Straße(ストリート)」なんです。ストリートのドイツ語、「Straße」はBMWのお姉さんに教えていただきました(笑)
というわけで、このモデルはどちらかというとストリート寄りではありますが、オフロードもしっかり走れるようになっています。今回、このG/Sにはいくつかのバージョンがあります。こちらのサンドカラー(サンドローバー・マット)は、最もスポーツに振ったモデルとのこと。例えば、シート高が違ったり、ハンドルの位置が少し違ったり、タイヤの種類がこのモデルはオフロードタイヤ(イボイボタイヤ)を装着していますね。リアタイヤのサイズまで違います。
せっかくなのでまたがってみたいんですが、今、車体が固定されているので、雰囲気とポジショニングだけ参考にしてください。私のスペック(身長160cm、手足は短め)ではなかなか厳しいですが、またがってみましょう!
シート高は明らかに800mm以上あります。固定された状態で足を振り上げてまたがると、膝を乗っけているだけみたいになります(笑)。「左足をステップに乗っけてから乗ればいい」という人もいますけど、運転するためにはそれだと運転はできないので、そのまままたがります。
ハンドルも遠いですよね。この状態だと、私は右手がちょっと届かないぐらいです。とりあえず真ん中に座ってみますが、ハンドルの幅や高さが変わっているらしいんですが、そこまで広くは感じません。上に上がっているとのことでしたが、座っている位置に対しては全然高く感じないです。ステップの位置も、シートに対してそこまで低くないですね。ということは、シートもそんなに高くないはず。確か900mmはないはずなので、「これ私にも乗れるのではないか?」と思いながら、足を出してみるんですが、もちろん届かないです(笑)
届くためにはやっぱりシートからお尻をずらしたポジションになります。この状態だと、もちろん右側は足がブラブラします。ここで踏み替えをシミュレーションしてみましたが、シートの表皮がスウェードのような素材で全く滑らないんですよね。ですから、足を踏み替えて、ギアを入れ替えたりするのは、ちょっと難しいかもしれません。
ま、でも座ってしまえば、しっくりするポジションだということが分かります。では、この感じを体に刻み込み、続いて別バージョンのG/Sにまたがっていきましょう!
こちらは色が違うだけでなく、ちょこちょこバージョンが違います。シート高も違っていて、先ほどのサンドカラーより少し低くなっているそうです。
さらに、リアホイールのサイズが、サンドカラーの方が18インチだったのに対し、こちらは17インチ。そしてタイヤも、サンドカラーがオフロード用のイボイボタイヤだったのに対し、こちらはストリート向けの割とツルンとしたタイヤが装着されています。シート高が下がり、ハンドルの位置も若干違うとのこと。ポジショニングにどう影響するのか、今からまたがっていきます。
横に並ぶと、シートが私の腰骨あたりにあります。先ほどのシート高が高い方よりは、明らかにまたがり込みは楽かもしれないです。
ですが、やはりこの状態で、私の右手が楽にハンドルにつくわけではありません。こんな前傾になっちゃいますね。またがり込んで真ん中に座るとどうか、シートの座面とステップの位置関係はそんなに変化を感じないんですが、ハンドルの位置が、さっきよりもちょっと前傾しないといけないかも、と感じますね。座面も違うので、座っている位置とハンドルの位置関係が変わってきているんですが、より前傾に感じます。
固定されているので参考までにですが、足踏み替える時はどうか? こちらのシートは普通の合皮なので、しっかり滑るんですよね。なので、おそらくバランスを取れる人だったら、私ぐらいの身長でもなんとかなるかもねぐらいですね(笑)
もちろん座っている状態で足は地面に届かないんですが、サイドスタンドを確認しましょう。さすがBMW、サイドスタンドは届きますね! とりあえず出せました。しまえるかどうか。今座っている位置が真ん中だから、届いているように見えますけど、実際にはスタンドを払うときに右足を地面につけなくてはいけないので、そうなると、スタンドに左足は届かないです。
今回のニューモデルR12G/Sを固定された状態でまたがりました。R12G/Sはいわゆるネオクラシックスタイルのオフロード車です。どんな方にオススメしたいかというと、このチャンネルは小柄さんや初心者さんに向けていますが、こちらはどちらかといえばやはり背が高い方の方が楽しめるはずです。
昨今、長距離ツーリングに行くためにバッグバイクやアドベンチャーが数年人気が高かったですよね。でも、1000ccクラスのアドベンチャーとなると、背が高い以上に重い、重心が高いということで、乗りこなすのが困難だった記憶はあります。
そこへいくと、このR12G/Sはご覧のようにだいぶシンプルですよね。シンプルな分、車体もそこまで重くないです。装備重量としては229kgありますが、エンジンオイルやガソリンを抜いたら、だいぶ軽い部類に入るのではないかと思います。そして何より、シンプルなのでカスタム性も高いのではないかと思うんですよね。
ネオクラ的なところでいうと、電子制御はそれなりにもっていますが、メーター周りはシンプルなアナログメーターが一つあったり。そういったシンプルなところも長年楽しめるモデルになるかと思います。なので、体格的、体力的にこういったバイクが視野に入ってくる方、「アドベンチャーもいいけど、こういうシンプルなものもより楽しめるよ」というふうに思います。
特に、サンドカラーの方は、オフロードもしっかり走り込める、エンデューロまではいかないにしても、林道もしっかり走りたいよという方はですね。他のメーカーには実はそのカテゴリーがないんですよ。ぽいやつはありますよ。ですが、ビッグエンジンを積んだ、しっかりとしたオフロード車というのはなかなかないので、BMWのこのR12G/Sは非常にオススメできるモデルだと思います。
さて、R1300RTなんですけれども、今日はニューモデル発表会で、豪華装備や電子制御システムなど、新しく変わったところが1時間以上も説明されました。今回の動画では流しきれないので、この後の試乗会に合わせて皆さんにご紹介していきたいと思います。次の動画をお楽しみに!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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