公開日: 2026/03/12
更新日: 2026/03/16
ファストファッションとハイブランド。一般衣料で起こっている二極化が、バイクファッションの世界でも起こっている。メーカーとバイクアパレルブランドのアイデンティティが、今問われている。
オートバイの魅力の一つとして、ファッション要素は欠かせないものである。ユーザーの嗜好もファッションも多様化し、販売店もメディアもいわゆる「ヒット商品」を構築できない現状がある。
レーサーレプリカ全盛期の80年代後半は、皆が同じようなライダーズウエア、もしくはレーシングスーツに身を包んだ。SRとアメリカンから続くハーレー文化が花開いた90年代初頭には、アメリカンカジュアルと革のライダースジャケットが、街の若者とシンクロしながら大流行した。オリジナルブランドが次々に生み出され、ライダースやワークブーツは定番化するかに思えた。しかし、そうはならなかった。
少なくとも2010年頃までは、TV・映画、漫画や雑誌が大きな影響力を持っていた。「あの芸能人が乗っていたバイクとウェアが欲しい」そんな時代はインターネットとスマホの普及で、完全に過去の現象となったのである。
世界的なファッションデザイナーであり、自身のライダーズブランド「SHINICHIRO ARAKAWA(シンイチロウアラカワ)」の創立者でもある荒川眞一郎さんにお話しを伺った。
「バイクファッションも全体的に完成されて飽和期に入って久しく、これからはレーシングに寄った機能性の高いウェアと、より普段着に近くて機能性の高いウェアとの領域が完全に離れていく気がします。バイクをファッションとして捉える方向と、レーシングな乗り物として捉える方向とでも言いましょうか…。そして、レーシングな方向は、よほどのカリスマライダーが登場しない限り、少し時代から取り残されそうです。そんな中で、街中でバイクを知らない人達が振り返ってしまうような、洒落たライダーが増えている気配を感じます」
荒川氏が述べた「バイクファッションの二極化」は一般アパレルの状況と同じである。安価なファストファッションが支持される一方で、高品質で高価格帯商品の需要増加が、バイクファッションでも間違いなく起きている。レーシングスーツやレザージャケットは原材料の高騰で高額になる一方で、新規参入のブランドが価格破壊ともいえるライディングウエアを打ち出してきている。
このような状況を鑑みて、二輪業界、バイクアパレルブランドのするべきことは何であろうか? 多様化するバイクカテゴリーごとに的を絞った、トータルコーディネートの提案ではないだろうか。125ccと大型バイクのユーザーでは求める機能もファッションの嗜好も大きく異なる。かつて、荒川眞一郎さんがホンダとのコラボレーションで大きな話題となったように、メーカーとバイクアパレルブランドが一体となった「機能とデザインを両立し、街ゆく人が振り返る」バイクファッションを、流行無き時代が求めている。
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