公開日: 2026/04/14
更新日: 2026/04/15
16.55年、16.32年、16.03年、15.76年、16.48年・・・・。記事のタイトルを見ても分かるように、これは小型二輪の平均車齢。自検協(自動車検査登録情報協会)の調査により明らかとなった、2025年から2020年までの6年間の推移である。2025年は16.55歳だ。一方、平均使用年数は11.76年、11.81年、12.50年、13.23年、15.23年と平均車齢とは反比例の動きを見せている。実情を探ってみた。
平均車齢とは現在、街中を走っているバイク(小型二輪)が初度登録後、平均して何年経っているかを示す数値。人間で言う平均年齢に相当する。一方、平均使用年数は、その年に廃車等で抹消登録されたバイクが、新車登録(または中古新規として初度登録)から平均して何年使われたかを表すもの。ここで分かるのは、1台のバイクがどの程度、乗られているか、ということ。耐久性が向上し、修理して乗り続ける人が増えると数字は高くなる。
2025年における二輪車の「平均使用年数」(11・76年)が「平均車齢」(16・55年)より短いのは、まだ走れる車両であっても、節税等の理由により一旦、登録を抹消するケースがあるため。実際にはその後、多くのバイクが再登録されるわけだが、これが平均車齢を押し上げているのだ。これについてライターの神林昌史さんは次のように語る。
「国内での再販については、例えば販売店が10年落ちのバイクをユーザーから買い取ると、コスト削減のため一旦、登録抹消することは普通にあります。その後、店で“商品化”し買い手が付いたら再登録するわけですが、買取り時に登録を抹消すると、その段階で『バイクが寿命を迎えた』と見なされます。つまり統計上の仕組みによって、『短く見える』ということなのです」
同氏は海外輸出についても同様、と説明する。
「ご存じのとおり、国産バイクは世界的にその品質が認められており、信頼性は世界一です。そのため製造から10年以上が経過し10万キロほど走っているバイクであっても、日本ブランドであれば海外需要は旺盛。このように、輸出にあたっての輸出抹消登録も統計上の数字に影響を与えています。つまり、これもバイクが寿命を迎えたこととして計算されているのです」
二輪車の平均使用年数が平均車齢と比較し短い背景には、まだ十分に走行可能なバイクが、コスト削減や貿易上の理由から抹消されることが大きく影響している。実際はその後、多くの車両が再登録され、平均車齢を押し上げている、という図式が成立していたのである。
平均使用年数は、データでも記したように増減を繰り返しているが、この要因としては、排ガス規制前の現行モデルへの買い替え需要や新基準原付への移行に伴う原付二種への乗り換えが想定される。
平均使用年数とは反対に、伸び続ける平均車齢だが、この先も過去数年と同様の推移をたどるのだろうか。結論から言うと、その可能性は高い。そこには「若者のバイク離れ」という言葉だけでは片づけられない構造的な問題があるものと思われる。
考えられる理由としては、「耐久性の向上」と「可処分所得の減少」だ。
「バイクの耐久性はひと昔前に比べ飛躍的に向上しています。そう簡単には壊れませんよね。性能面でも、純正状態でポテンシャルが高く、電子制御化なども進んでいます。こうしたことも関係し、性能向上を目的としたカスタムは減少しているのが現状です。実際、最近はカスタム=性能アップから、見た目を重視したデザイン性やスタイリングの美しさに関する追求など、個性化を求めるユーザーが増えているように思います。その結果、長く乗って楽しむ方向へとシフトしているのではないでしょうか」(前出・神林さん)
バイクの高額化も要因。400ccクラスの一部の車両には100万円を超えるものもあり、それ以上のクラスになると、100万円越えは当たり前。
一例を挙げると、400ccネイキッドは20年前が65万円前後、10年前が80万円前後。そして現在が90~130万円と100万円超えのモデルもある。リッタークラスになると、それぞれ120万円前後、150万円前後、150~190万円と、100万円以下では買えない。スーパースポーツともなると、さらにここに30〜40万円の幅で乗っかる。高額化には排ガスや騒音規制への対応コストやABS等の装備の義務化も関係する。また、原材料費や物流コストの高騰などが大きい。やむを得ない側面でもあるのだ。
もう一つは絶版車・旧車の増加である。旧車の定義はさまざまだが、時間の経過とともに生産終了となり、「絶版車」となる。つまり対象車両は増え続けることになる。電動化問題もある。できるだけ長くガソリン車に乗りたい、と考える層は決して少なくない。これらの心理が働き続けることが予測される。
さらには保有台数との関連もある。算出は前年の保有台数に新車販売台数を加え、そこから抹消台数をマイナスしたもの。これを前提に、平均車齢の関係を見てみよう。
平均車齢が上昇し保有台数が横ばいもしくは微増という状況は、古いバイクが廃車されずに現存することの証左。新車販売が低調だったとしても、所有者が手放さないため、保有台数はあまり減少せず、平均車齢だけが上昇する。手放さない理由としては、車両によっては投機的な目的もあるものと思われる。
次に平均使用年数との関係について。平均使用年数が短くなるという状況は、早い段階で登録が抹消されたことを示している。2025年の11・76年と6年連続で短くなっているが、これは年々早く車両が「流出」していることを示している。新車販売の状況によっては、保有台数は減少に転じることとなる。
現在における日本の二輪市場は50代、60代以上のリターンライダーを含む熟練ライダーが1台のバイクに長く乗る傾向がある。つまり成熟したフェーズにあるのが、いまの二輪市場。今年1月、自工会の二輪車委員会で「日本はすでに安定型マーケットに変化したと見るのが妥当」との発言があったが、まさにこのことだろう。
こうした現状を考えると、何か劇的な若返りが起きない限り、平均車齢は17年、18年とさらに更新されていくのが自然な流れと言えるのかもしれない。
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