公開日: 2025/11/07
更新日: 2025/11/10
2013年の初開催から、13回目を迎える「BIKE LOVE FORUM」。今年は『バイクの力で地域を盛り上げよう』をテーマに、バイクによる町おこしを行っている埼玉県小鹿野町で開催。「ウエルカムライダーズおがの」の会長をはじめとする関係者を招いたトーク対談や、モトツーリズムを推進する自治体の課題と展望をテーマとしたパネルディスカッションなど、多様なゲストによる多角的な議論が交わされた。
9月19日、小鹿野文化センターホールで「第13回BIKELOVE FORUMin 埼玉・おがの( 以下、BLF)」が開催された。今年のテーマは『バイクの力で地域を盛り上げよう』。冒頭、経済産業省自動車課の伊藤政道課長が開会の挨拶を述べた。
「近年、小鹿野町のように、地域振興にバイクツーリズムと観光資源を結び付けた施策を展開する取り組みが、各地の自治体で広がりを見せている。観光産業、地域社会への貢献という観点でバイクがどのように寄与できるのか、本フォーラムのなかで議論いただければと思う」
まず①では、小鹿野町まちづくり観光課の田嶋哲也課長が、小鹿野町の観光PRや、町おこし事業のテーマにバイクを選んだ理由について説明。また、ボランティア団体「ウエルカムライダーズおがの」発足の背景や、取り組みなどについて紹介した。
次に②では、二輪車産業政策ロードマップ2030の取組状況について、経済産業省自動車課の堀江大地課長補佐が「二輪市場動向と取組み」を説明した。続いて、BLF開催実行委員会の飛田淳司氏とBLF主催各団体関係者が登壇し、「施策進捗と課題」を報告。そのなかで、日本二輪車普及安全協会の髙橋亮専務理事は、安全啓蒙活動について次のように述べた。
「『ベーシックライディングレッスン』は2年目を迎え、いくつかの課題が散見されるようになった。具体的には、若年層受講者の少なさや、主要都市と地方都市における参加人数の格差、そして指導員の減少・高齢化といった問題。これらに対し、若年層への認知拡大、地域特性を考慮した効果的な発信方法、指導員創出に向けた環境作りなど、具体的な対策の検討を進める」
続いて③のトーク対談では、「ウエルカムライダーズおがの」会長の強矢立家氏・初代会長の吉田朗氏、小鹿野警察署副署長の篠永作氏、小鹿野町観光大使を務める俳優の山口良一氏らが登壇。「まちおこしプロジェクト『ウエルカムライダーズおがの』の取組み」をテーマに、トーク対談を行った。そのなかで強矢会長は、バイクによる町おこし事業に対する住民の理解を、どのように深めていったのかについて、次のように語った。
「事業開始当初は、住民から苦情が相次ぎ、議会でも問題視されてしまった。そのため、このままでは事業が頓挫してしまうと思い、地元の小鹿野警察署に協力を要請。バイクイベントの開催時には、白バイやパトカーに必ず巡回していただくことになった。すると、住民のなかに『小鹿野町のバイクイベントには警察が立ち会う』といった安心感が生まれた。事業開始から約1年後には、当初反対していた人達から、『この事業を続けて欲しい』と言われるようになった。警察との協力が重要なポイントだ」
また小鹿野警察署の篠永氏は、6月17日に管内での交通死亡事故ゼロ日数が5000日を達成したことを紹介。これは、小鹿野警察署だけでなく、小鹿野町に訪れるユーザー、そして地域住民などの協力があってこそ継続できたと述べた。
そして④では、日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)の鈴木哲夫会長、堀越慶太郎会長付参与、浜松市産業振興課の飯田智也主任、八頭町役場企画課の保木本幸雄副主幹らが登壇。「モトツーリズムを推進する自治体の課題と展望」をテーマに、パネルディスカッションを行った。そのなかで堀越氏は「モトツーリズムは近年、世界的に愛好者が増加し、市場規模も拡大。2033年までには現在の2倍の規模に成長すると期待されており、経産省や観光庁も注目している」と語った。
プログラム終了後には、開催自治体挨拶として、埼玉県の大野元裕知事が登壇。「県としては、バイクに関わるすべての皆様、特に中小企業の発展を今後も支援させていただきたい」と挨拶を行った。
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