公開日: 2025/12/26
更新日: 2026/01/15
「自分が欲しいと思っていたものを作る」VFの代表、アントニオ・和歌さんは自身のバイクライフを製品の機能・デザインに落とし込んでいる。
VF・Vulcan Factory(ヴァルカンファクトリー)の代表であり、ブランドデザインを手掛けるアントニオ・和歌さんは生粋のライダーである。「バイクをこれだけ楽しみながら生活している人は他にいない」と思えてしまうほど、様々なバイク遊びに精通している。
学生時代は恵まれた体躯を生かし、マウンテンバイクの選手として活躍。絶版車世代でもあるので、カワサキのマッハや、ヤマハのRZVなどの旧車を愛でている。その一方で現行車のMT-09で全国を駆け巡り、ウィズミープロフェッショナルレーシングからDUCATI999で筑波T.T.DUCATIカップのチャンピオンを獲得。ハーレーのパンアメリカを駆っての林道遊びを、俳優の大鶴義丹さん達と何年も続けている。現在は千葉県に山林を借りて、仲間を巻き込んでモトクロスコースの整備の日々を自らユンボを操作しながら過ごしている。しかし平日の夜になるとアプリリアRS125で、東京のライダーズカフェ巡りをするという一面もある。まさにマルチで自由なリアルライダーである。
これまで和歌さんは各企業より依頼されたナショナルブランド製品の修理や、有名ファッションブランドのOEMを手掛ける企業をマネージメントしてきた。ここ数年は技術者育成に力を注ぎ、五十代後半を迎えて以前より構想していたモーターサイクルに特化した「自身が欲しいと思う、スタイリッシュレザーアイテム」を製作するVFブランドを2022年に立ち上げた。様々なバイク遊びを経験してきた和歌さんが作るVFのレザーアイテムは、本物志向のベテランライダーを中心に、多くの支持を集めている。
VFブランド、つまり和歌さんが目指すものはバイクのジャンル、年齢やキャリアも関係なく楽しめるレザーアイテムとスタイリッシュなバイクグッズの製作・販売だけではない。VULCANのイメージをウェア、パーツ、カスタムマシンなどバイクの世界を更に広げる構想を、ブランドとして創出することであるという。
これまでバイク業界に参入してくる企業や個人は、車両販売をメインにしながら、その延長線上での整備やカスタムといったハード寄りのビジネスを主体としていた。30年前までは上野のバイク街しかライダーが行くような場所がなかったのに、現在ではツーリングコースにもライダーズカフェがあり、宿泊施設も増えている。貸ガレージ、またはガレージ付き物件の整備も進んでいる。バイクアパレルもかなり多様化し、車両販売からではなく、これまでバイクに関係なかった業種からの新規参入も見られるようになってきた。
このようなバイクカルチャーの変化に、メディアやメーカー、二輪販売店がどのように対応していくのか? 2026年、我々の課題となるだろう。
人気記事ランキング