コラム

内在住者と訪日客で価格が変わる「二重価格」、深刻化するオーバーツーリズム対策などに期待

公開日: 2026/02/25

更新日: 2026/02/26

近頃、よくニュースで「二重価格」という言葉を見聞きするようになった。二重価格とは、自治体や事業者が提供する訪日客向けの商品やサービスの価格を、国内在住者向けよりも高く設定することを指す。主に、観光資源の維持やオーバーツーリズム対策のための費用確保などを目的として導入されている。

直近では世界文化遺産である姫路城が3月1日から二重価格の導入を開始した。城の維持管理や保存整備の費用の確保が目的であり、料金改定後は姫路市民が従来の1000円、それ以外は2500円となる。また文化庁では現在、国立博物館や美術館への導入を検討しているという。

こうした動きは日本だけでなく、すでに世界各国の有名な観光地でも導入が進んでいる。例えば、フランスの「ルーブル美術館」では1月14日、老朽化に伴う大規模改修の費用のため、二重価格を導入した。入場料は、EU加盟国などヨーロッパの住民は日本円換算で約4000円、それ以外は約5900円となっている。その他にも、設備の維持費や展示品の修復費、オーバーツーリズム対策などを目的に、多くの国が外国人観光客向けに料金を設定しているのだ。

求められる説明と周知、飲食店でも二重価格導入

話を日本へと戻す。国内での二重価格の導入は大規模施設だけにとどまらず、飲食店でも広まりつつある。しかし、問題点も存在する。同じ商品やサービスでも価格差があることで、訪日客が不公平感や理不尽さを感じてしまう可能性があるのだ。

公的な施設の場合、税金で維持管理を行っていることから、訪日客の理解は得られやすい。しかし、民間の場合はその限りではないため、価格差について納得のできる説明が求められる。実際に大阪府のラーメン店では、同じ商品名だが日本人向けと、味付けや具材を変更した訪日客向けとに価格を分けて提供していた。しかし、そのことを知らずに食べた訪日客が差額分の返金を求める事態に発展したケースがあるという。

また国内在住者かどうか、見極めが難しいことも問題点として挙げられる。日本人と見分けがつかない外国人や、日本に在住している外国籍の人もいるためである。判別方法として、マイナンバーカードの活用が考えられるものの、普及率は80.8%(総務省発表2025年12月末現在)であることから、現時点ではまだ有効であるとは言い切れない。

このように、二重価格にはいくつか改善すべき問題点がある。だが、昨年のインバウンド数は4268万3600人と過去最多を記録。この先もさらに伸び続けることが予測されるため、それに比例し観光需要はより一層高まるだろう。そうなると、施設の維持管理やオーバーツーリズム対策などの財源確保は早急の課題となる。

二重価格を設定することで、増大する観光需要を価格面でコントロールすることができるようになるが、そこで求められるのは、それをスムーズに行うためのインバウンドや一般客からの納得である。二重価格の設定は需要の排除ではなく観光地の持続の可能性を高めるものなのだ。

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