公開日: 2026/05/19
更新日: 2026/05/21
使えるものは全て使う。その一つがSNS。こう持論を展開する株式会社カメレオの美波氏。販促手段は色々とあるが、まずは経営者個人の情報発信が何よりも大切、と説く。「SNSは誰もが使えるインフラ」と言い切る同氏に、SNSを使った販促活動の基本についてインタビューした。
二輪販売店が自店のことをより多くのユーザーに知ってもらう。そして来店を促し、販売需要や修理・整備需要をさらに高める。これは、昔ながらのツーリングや試乗会などのリアルイベントに対しても有効だが、今の時代に欠かせないのは、SNSを活用した、いわゆるデジタル集客である。
例えばインスタグラムの活用。バイクの全景や整備の様子、納車直後のユーザーの喜びの表情などを画像や動画で発信する。「#(地域名)店名」も不可欠だ。
MEO対策については以前も紹介したが、「Googleビジネスプロフィール」にオーナー登録を行い、自店の商圏内でバイクショップを探しているユーザーに「営業時間」や「口コミ」「店舗写真」を表示することで来店を促すもの。「バイクショップ+地域名」で検索された際に、マップ上で上位に表示されるよう情報を充実することが重要となる。最新の店舗情報や口コミの返信を頻繁に行うことで、信頼性と認知度を高めることが可能だ。
もう一つのポイントは、スタッフの顔が確認できるHPづくり。いわゆる最適化だ。写真があると、安心感を与える。ユーザーの多くはたいがいスマホで検索するので、スマホでの見やすさは絶対条件。コンテンツは「スタッフ紹介」でもよい。写真の代わりに、リアルな感じのイラストでも可。ネットで調べれば、格安料金で請け負ってくれる人もいる。試していただきたい。
――― このところ、様々な分野で販促策としてインフルエンサーを起用した活動が増えていると思います。
美波 そうですね。以前に比べ確実に増えています。依頼も多く受けますが、中核はマイクロインフルエンサークラス。中にはフォロワー数10万、20万人超えのメガクラスの人もいます。
――― それがスタンダードな選択基準選に?
美波 確かにそういう方は影響力があります。いまは雑誌やテレビメディアが弱いため、SNSではキャスト頼み、といった側面がある。問題は着地点。オファーはできるけれども、インフルエンサーにクライアントの意向やビジネス業態などについて理解してもらうことが必要。でも、それが難しいのです。「お願いします」「これをやってください」「いいですよ」。個々のインフルエンサーの解釈で、画を撮って出してはくれるけど、たいがいそこで終わってしまう。
――― ポイントはインフルエンサーの理解の幅にある。
美波 何か発信したい時、目標を明確にするのはもちろん、どこに着地させるのか、についても画を描かないとダメなんです。結果、多くの人が失敗するのはそこです。だから「〇〇さんにお願いしたけど、思ったほど反応がなかった」となる。結局、そのインフルエンサーのファンが来るだけで、その商品やサービスの魅力訴求は二の次となっているのです。大切なのは商品・サービスについて、どういうイメージを刷り込むのか。その結果、どこに向かってもらうのか、ということ。一緒に楽しみ、商品やサービスの拡散イメージを持ってもらい、インフルエンサーとファンを一体として考え、運用していくことが大切なんです。
――― 依頼した後の見通しを含めた設計図が必要、というわけですね。
美波 小間引きを作り、コンテを作り、「こういうイメージを持ってるから、こんな画作りをしてほしい」と、明確なメッセージを込める。ストーリーで訴求していくことがポイントです。
――― その分野に精通したインフルエンサーであれば、相互理解は早そうですね。ただ、インフルエンサーにお願いするという発想はあっても、どんなプロットを組み、何をどのように行えばいいか見当がつかないこともあるのでは。
美波 マーケットを理解している人が画を描き、工程を考えられる人が全体を見る。 バイクショップであれば、その店が得意とするモノをベースに、地域性や時代性、季節を考慮し、市場で受けそうなコトを探る。そんな画を一緒に描きます。実は、その前段階として明確にすべきことがある。それは自分自身をさらけ出すことです。
――― それは誰に対してでしょうか。
美波 一般ユーザーです。結局は人と人との商売なので、自分の人となりを出すべき。どういう人物なのか、何をしたいのか、など自分の考えをアウトプットするのです。SNSは誰もが利用でき、自分の好きなタイミングで自由に情報発信できる。しかも情報量は問わない。これを利用しない手はない。やはり自分自身を知ってもらうことで、初めて商売が成り立つのです。残念ながら、そこが不十分な人もいます。
――― 意識と知識のアップデートが必要ですね。自分史であってもショップの歴史であってもいい。
美波 そうですね。こんなキッカケがあって店がこうなった、といった、現在に至るまでの経緯です。BDSREPORTにも経営者の人物像が分かる記事がありますよね。それを「公共の場」、つまり誰もが利用できるパブリックスペースで、SNSを使いしっかりとアナウンスしているかが大前提なのです。SNSは自由に使えるインフラです。使えるものは、しっかりと使うべき。従来、インフラといえば、整備され、提供されたものを活用するのが一般的だったけど、いまはクラウドやオープンな社会システムの発展により、利用者側が能動的に活用できるモノが増えています。SNSも情報の共有や交流、マーケティングの観点から「生活インフラ」として機能しているのです。誰が見てくれるのか、は別として、まずは誰でも見られるところに情報を出すのが大前提。実際はGoogleのビジネスプロフィールをやっていない人もまだ大勢います。
――― 機会損失ですね。
美波 そう思います。バイクショップでは、より多くのバイクを販売するために、バイクセンサーなどで在庫車の情報を発信しますよね。それができているわけだから、自身で店そのものを宣伝しないと、基準が在庫情報だけに偏ってしまう。バイクショップの存在意義は、在庫の大小や価値だけではなく店の魅力です。それを発信していかないと、検索して表示される商品(バイク)しか見られないんです。お客さんが選ぶのは、そのバイクショップがどれだけ親身になってくれるのか、どれだけそのバイクに対する専門知識があり実績があるのか、などです。 それをバイクセンサーの中のお店紹介だけにとどめるのではなく、店独自の方法でしっかりとアウトプットしていくことがとても大切なのです。
――― そこで初めてスタートラインに立てるわけですね。店や人に関するアピールが重要であることは分かりましたが、逆に車両に関する効果的な打ち出し方はあるのでしょうか。
美波 ホンダのCBだったら、CBの歴史もありますが、CBが取り沙汰されるようになったキッカケに関する話でもいいと思います。たとえば漫画やアニメ。有名なところでは「750ライダー」や「バリバリ伝説」「ワイルド7」「湘南爆走族」などですよね。社会現象とまでなりましたが、若いユーザーのなかには、そういうことを知らない人もいます。そこをポイントに、自分(経営者)がその時代にどう向き合っていたか、などです。過去の自分を振り返ることで、自分の見解が出てくると思うんです。
――― それが自分を出す、ということなのですね。経営者の考え方、人となりを知ることで、もしかしたらユーザー自身との共通項が見つかり、それが来店動機になることも考えられるでしょう。
美波 長年、特定人物のSNSを楽しんでいたとします。あるキッカケで本人に出会えた時、初対面なのに初対面の感じがしない、などと言われることがあります。まさにその感覚がユーザーとの距離を縮めるのです。
――― ショップ独自のサービスにも結び付けられそうな感じがします。
美波 ショップによってはオリジナルパーツを作れるところもある。「こんなことを考えているんだけど、欲しい人いるかな?」とユーザーに聞き、「欲しい」という人が多ければ、それを商品化するのも面白いやり方。その後のステップとしては、買ってくれたユーザー同士でミーティングや座談会を開催し、さらに希望者が増えるようなら、メーカーに製品化のリクエストをするのです。MakuakeやCANPFIREなどのクラウドファンディングでファンディングするのもいいでしょう。商売上手な人は、そこまで考えます。SNSにはそれを実現化できる可能性がある。自分からも訴求できるのはもちろん、知らない人と繋がれるのが最大の強みなのです。
――― SNSの中でも特に効果的なのは?
美波 世代によって異なりますが、INSTAGRAMが宣伝には一番適していると思います。いま、四輪や二輪関連の企業のなかには、インスタにしか広告費を使わないという人が増えています。Xはその時何が起こっているのかを調べるには適しているけど、継続性については弱いと思います。Xは主に「自動化ツールやAPIを利用し人間がその都度操作しなくても設定されたスケジュールやイベントに応じて自動的にポストされる仕組みがある。ただ、自動投稿ばかりだと、ユーザーからは「CMが多い」「中身がない」と思われがち。反応(リプライやいいね)への返信もなくファンが定着しにくくなります。その点、インスタは自分でも見るし、媒体効果は高い。何よりもユーザーとやりとりし易いんです。FACEBOOKは、オールドメディア的な運用であれば一番いいと思います。しっかりと情報も書けるし。
――― ポイントはどの層をターゲットにするか、ですね。
美波 TikTokについては実績に結び付きにくいという意見が多いです。面白いことやってる人向きという要素が強く、二輪業界の商売には結びつきにくいでしょう。その点、インスタは面白おかしくも見せられる。
――― 投稿内容にも注意が必要ですよね。
美波 その通りです。誰もが見られる“パブリックスペース”なので、コンプラ(規律)違反の注意は大切です。ありがちなのは、公道で200km出した、とか。これは絶対にダメ。ただ、「スピードには強いこだわりがある」といった表現であれば問題はない。自分なりの表現で自分の特徴とか特性を出すのであればいい。誰かしらが動画を見てるし、そういった人が入ってくれると、第三者の声も聞けるようになり、それが進化を後押ししてくれるのです。
――― 繰り返しになりますが、自分やショップの情報をアウトプットできていることが前提であり出発点ということですね。
美波 はい。その後、影響力のある人につなげ、「このショップはこういう感じ」とシェアしてもらいつつ、第三者のコメントを入れてもらい、ショップに対する理解を深めてもらうのです。情報発信者は、例えば奥さんでもいい。一番の理解者ですよね。家族や従業員と相談しながら始めるわけですから。だから、息子さんでも娘さんでも全く問題はありません。親身になって考えてくれる人は、必ずいます。例えば店のお客さんです。なぜウチに来てくれるようになったの? と聞くと、「〇〇で〇〇だから」と答えてくれる。お客さんのヒアリングが一番。家族とはまた違う側面を持つ理解者なんです。お客さんも頼られると嬉しいはずですから。私は仕事をする上で、お客さんに徹底的にヒアリングをします。商売なので、利益も大切ですが、やはり大切なのは人と人との付き合いじゃないですか。仕事でも遊びでも、それこそ恋愛でも、人との向き合いですから、その人に何を提供すれば喜んでもらえるかを考えます。結果を出すためには、相手の深い理解は欠かせません。
――― とても説得力のあるお話しでした
美波 一つ、私の経験についてお話しさせて下さい。私はかつて広告代理店に勤務しており、当時はBDSさんには何度もお伺いしていました。戸田会場の頃です。毎週水曜日、雑誌を何冊も持って、会場に行きました。あれが私の原点だと思っています。まだインターネットも普及する前の時代。雑誌への広告掲載についても、あまり知られていなかった。そんななか、経営者の方々とコミュニケーションを図りました。なかなか会えないような、地方の方であっても、BDSオークションに参加するために来場する。このチャンスを逃すものか、とできるだけ多くの接点を持ちました。バイクショップの経営者に興味を持ったのはそこからです。その意味では、そういう状況を提供して下さったBDSさんには、とても感謝しています。
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