公開日: 2026/03/12
更新日: 2026/03/17
昨年、50ccの原付一種の生産が終了し、新基準原付が徐々に市場に投入されている。しかし、まだ機種が少なく、今年1月・2月の新車国内出荷台数は生産済みの50ccモデルを合わせても原付二種の出荷台数とは差が開いており、前年同期比でも52.8%とまだ途上にある。
今年の二輪業界における大きなトピックのひとつは、新基準原付がユーザーにどう受け止められるかだ。今さら説明の必要はないかと思うが、新基準原付を簡単にいえば、排気量125cc以下で最高出力4.0kW以下のバイク。
ただ、現状としては発売されている機種がまだ少なく、新基準原付を選びたくても選びにくい状態だといえる。3月中旬時点だと、ホンダのLiteシリーズしかない。同シリーズにはスーパーカブ110Lite、スーパーカブ110 プロLite、クロスカブ110Lite、ディオ110Liteの4車種があるが、このうちのスーパーカブ110プロLiteは配達・配送業務用なので、一般ユーザーが選ぶとなると実質的には3モデルから選択することになる。
そのことも影響しているのか、今年1・2月の新車国内出荷台数をまとめた表1を見ると、原付一種は2025年同期比で47.2%マイナスと約半数まで下がっている。
そのような中、3月19日に発売されたのがヤマハの新基準原付『JOG ONE(ジョグワン)』。これまでのジョグとどう違うのか。
まず、パッと見て感じるのは原付二種のジョグ125のイメージに近いということ。それもそのはず、ジョグワンのベースとなっているのはジョグ125。そのため、大きさはジョグの全長1675×全幅670×全高1040mmに対し、ジョグワンは全長1740×全幅675×全高1090mmと少し大きいが、このサイズはジョグ125と同じだ。車重の95kgもジョグ125と同じ。同クラスである原一ジョグとの差は16kgあるが、取り回しの際などにやや重いかなと感じる程度だろう。だが、バランスを崩した時などには小柄なユーザーだと、ちょっとヒヤッとするかもしれない。原一ジョグのシート高は705mmだが、735mmと30mm高くなっている。体の大きなユーザーなら気にならない差だとは思うが、女性や高齢者は多少、気になるかもしれない。ただ、これはジョグ125と同じ。同車は原二クラスでは最も低いシート高で、抜群の足付き性を誇っている。あくまでもこれまでの原一ジョグと比較した場合は、高さを感じるかもしれないということである。
エンジンは、原一ジョグが水冷・4ストローク・SOHC・2バルブ・単気筒・49ccで、ジョグワンは空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ・単気筒・124cc。最高出力は3.3kW(4.5PS)から3.5kW(4.8PS)、最大トルクは4.1N・m(0.42kgf・m)から7.7N・m(0.79kgf・m)。出力に大きな差はないが、トルクがジョグの1.9倍近くにまで太らされている。これなら、16kg重くなっていてもスタートでもたつくということはなさそうだ。
そして価格。原一ジョグは税込18万1500円で、ジョグワンは税込25万9600円。その差は7万8100円。始動時にスターターモーター、走行時はジェネレーターとして機能するスマートモータージェネレーターを搭載するブルーコアエンジンの採用など、ジョグワンは原一ジョグの後継機種というよりは、ジョグ125を新基準原付に適合させたモデル。だが、ユーザーからしたら原一ジョグと同じクラスのバイク。約8万円の差をユーザーがどう受け取るか。さらに、ジョグ125の価格が税込27万600円で、価格差は1万1000円。原付二種に乗ることのできる免許を持っているならば「この価格差なら原付二種に」という人が出てきてもおかしくはない。ヤマハのもうひとつの原一スクーターであるビーノと比較しても、ビーノが税込21万4500円なので差は4万5100円。これまた、ジョグ125のほうが価格面では近い。
しかし、裏を返せば、原二へのステップアップを提案しやすいモデルだといえる。二輪は原一しか運転できない、例えば普通自動車免許しか持っていない人に対しても、原二を訴求するチャンスでもある。原二は、2段階右折や法定最高速度30km/h、二人乗り不可などの制限を受けることはない。また、AT小型限定普通二輪免許であれば、最短2日で取得することが可能(MTの場合は最短3日)。
排気量も同等で価格面でもそう離れておらず、短期間で免許取得が可能な原二、普通自動車免許があれば乗れる新基準原付。どちらを選ぶかはユーザー次第だが、販売店としては今まで以上に原二へのアプローチがしやすいのではないだろうか。
出力制限はあるものの、排気量が125ccまでとこれまでよりも存在が近くなった新基準原付と原二。3月19日発売の新基準原付ジョグワンに続き、ヤマハは4月24日に原二ファッションスクーターの『Fazzio(ファツィオ)』を市場に投入する。発売に先駆けて3月9日に行われたメディア向け発表会は、ファッショナブルなファツィオにふさわしいファッショナブルな街、JR原宿駅前にある多目的イベントホール・ウィズ原宿ホールで開催した。同イベントでは、コンセプト・開発内容・デザインについての説明がなされたほか、ファツィオのイメージイラストを描いているイラストレーターutuさんとのコラボモデルの公開、参加したメディアからのQ&Aセッション(主な質問は別枠参照)などが行われた。
ファツィオのコンセプトは、「Simple & Casual Mover as a Lifestyle-wear(機能性とファッション性を兼ね備えた普段着のようなシンプルでカジュアルな移動具)」。ヤマハを含めた国内各社の原二スクーターを見ても、都会的でスタイリッシュな車種が目立ち、ちょっとかわいい感じのものは見当たらない。
キーとなっているデザインモチーフは楕円(オーバル)。ヘッドランプ、テールランプ、メーターパネル、ウィンカーなど前から後ろまでオーバルモチーフが散りばめられている。ひとめ見ただけでファツィオと分かる。
もちろん、外観がかわいいだけではない。高効率燃焼・ロス低減・高い冷却性を照準にして開発したブルーコアエンジンを搭載。ジョグワンにも組み込まれているスマートモータージェネレーターを搭載したスマートモータージェネレーターシステムを採用。これにより、ヤマハの国内モデル初となるパワーアシスト機能が使えるようになっている。停車状態からの発進などでスロットルを素早く・大きく開けた際、スマートモータージェネレーターがモーターとして機能し、最大3秒間、駆動力をアシストする。登坂路やタンデム走行時などでもスムーズに加速させることができる。
さて、3月・4月にヤマハが新基準原付と原二に送り出すニューモデル。これらがユーザーにどう受け止められていくのか。特に、前年同期比でほぼ半減した原一の新車国内出荷台数において、ジョグワンの登場でどう変化していくのか。ただ、これはホンダのLiteシリーズやヤマハのジョグワンだけでどうなるものではない。新基準原付のラインアップが充実していかないことには、台数を伸ばしていくのは難しいものと思われるだけに、今年の新基準原付の動きには注目だ。
二輪の免許を取らなくても、四輪の免許を取れば乗れる新基準原付。これは、他のクラスにはない特徴。2023年、原二にボリュームゾーンを明け渡したが、二輪への入口として最も入りやすいのが原一クラス。新基準原付VS原付二種がこの先どうなるのかは分からないが、新基準原付をキッカケに、この2クラスが躍進することに期待したい。
Q. アジア圏で販売されているモデルがベースだと思うが、日本仕様に変えられているところはあるのか。
A. 日本の法規対応の他、シート下のトランクサイズを19.1リッターに拡大。ワイズギアのジェットヘルが収納可能となっている。
Q. アシスト機能を初搭載した理由は何か。
A. スマートモータージェネレーターシステムを採用した車種はあるが、このシステムをさらに活用するということで、今回のファツィオから採用している。
Q. ファツィオはマイルドハイブリッドの一種と考えていいのか。
A. ファツィオは海外でハイブリッドと言っているものと同一構造。日本でハイブリッドと言うとストロングハイブリッドのイメージが強いので、スマートモータージェネレーターによるパワーアシスト機能を採用したという表現をしている。
Q. このタイミングでファツィオを導入した理由は。
A. 実用性だけではなくデザイン性を重視するユーザーが増えてきた中で、軽くて扱いやすい車体、シンプルなデザイン、日常で使いやすい装備ということを加味して、今回導入した。
Q. ファツィオの名前の由来は何か。
A. ファッションとシンプルという掛け算でファツィオとしているが、『ファ』はファッション、『ツィオ』のところはイタリア語でシンプルが『ラシオ』のような発音でして、それを掛け合わせたのがファツィオという名称の由来だ。
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