ヤマハイベント

ヤマハのライディングスクールに新システムを導入し、運転のクセやレベルを「見える化」

公開日: 2021/04/29

更新日: 2022/09/06

 原付二種クラス以上の販売が増え、二輪免許の新規取得者も増加傾向。その一方で、交通事故も増えており、安全運転啓発活動の推進が重要課題となっている。そのような中、ヤマハがYRA(ヤマハ・ライディング・アカデミー)に、参加者の走行技量を『見える化』するYRFS(ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム)を導入するという、新たな取り組みをスタート。4月9日に千葉県野田市の清水公園で、「YRA大人のバイクレッスン 新システム プレス体験会」が開催された。

インストラクターのアドバイスとYRFS目と耳で、自分の走行技量を把握

<center>取り付ける機器は非常にコンパクト。車両の前後に取り付ければセット完了</center>
取り付ける機器は非常にコンパクト。車両の前後に取り付ければセット完了

 自分がどのようなライディングフォームで走っているのか。どのタイミングでブレーキをかけ、スロットルを開けているのか。最近は、バイクやヘルメットにGoPro等のデジタルカメラを取り付け、走行シーンを撮影する人が増えているが、それでも自分の走りの良い部分や改善が必要な点を客観的に捉えているライダーは、そう多くないだろう。

 もし、自分の走行技量レベルや、走行時のクセを把握できるようになれば、自分の改善すべきポイントが分かり、バイクに乗る上での安全度をさらに高めることができる。それを実現してくれそうな取り組みをヤマハが開始した。ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム(YRFS)のYRAへの導入だ。その目的は、走行技量を可視化して参加者にフィードバックすることで、ライダーのスキルアップを支援すること。

 このYRFSは、車両の位置や車速データをGPSロガーで取得し、走行時における「加速・減速」「旋回」を『見える化』するシステム。自分の走りをデータで見ることができるのだ。これまでYRAでは、参加者の走行を見て、インストラクターが個別に生の声でアドバイスをしてきた。そこにYRFSが加わることで、目と耳で、自分の走りを把握できるようになる。

<center>プレス体験会の翌日に開催されたYRA。ここで初めて「YRFS」を用いたアドバイスを実施</center>
プレス体験会の翌日に開催されたYRA。ここで初めて「YRFS」を用いたアドバイスを実施

 YRFSは今年開催されるYRAに導入されるが、それに先駆けて4月9日、「YRA大人のバイクレッスン 新システム プレス体験会」を千葉県野田市の清水公園で開催。同公園では、体験会の翌日から2日間にわたりYRAが開催され、両日ともYRFSを取り入れたレッスンが行われた。

 YRAには複数のプログラムがあり、全てのYRAでYRFSが実施されるわけではないが、4月の清水公園以降、5月15日(土)に福岡県福岡市にある福岡市立ヨットハーバー、6月12日(土)に京都府京都市にある京都府交通安全協会・自動車練習場、6月13日(日)に兵庫県三木市にあるネスタリゾート神戸で行われるYRAで新システムによるレッスンが予定されている。

レッスンの最初と最後に2回計測するため、レッスンの効果が一目で分かる

<center>YRFS開発の背景について語る石井謙司社長</center>
YRFS開発の背景について語る石井謙司社長

 YRFSとは、どういったものなのか。簡単に言えば、計測機器をレッスンの車両に取り付け、参加者に実際にコースを走ってもらってデータをとるというもの。そのデータはフィードバックシートとしてまとめられ、参加者に配布される。

 YRAに限ったことではないが、ライディングスクールに参加すると、参加前と参加後では、自分でもハッキリと感じるぐらい、走りに変化が表れることがある。そのため、YRFSを実施するYRAでも、レッスンの最初と最後、2回計測してデータを収集する。その2回ともフィードバックシートに載るので、YRAを受講して何が変化したか、効果を目で確認することができるというわけだ。

 さらに、ただ自分のデータを見ただけでは、どこに改善ポイントがあるのか分かりにくいが、フィードバックシートにはインストラクターの走行データとアドバイスも掲載。インストラクターと自分のデータを見比べ、アドバイスを読むことで、自分の弱点やクセも見えてくる。

「自分が旋回中に加減速をしているとは気づかなかった。無意識にやっていた」

 これは、実際に体験会に参加してコースを走行したメディア関係者が、自分のデータを見た時の感想。データを目で見るからこそ、気づくこともあるのだ。

 体験会の冒頭の挨拶で、ヤマハ発動機販売の石井謙司社長が次のように語っていた。

「二輪は密を避けられるパーソナルコミューターとして注目され、良い流れが出てきています。その反面、二輪の交通事故が前年比で3%増加しています。メーカー個社として、ライダーの技量アップに何か貢献できないか、ということでYRFSの開発をすすめてきました」

実際のフィードバックシートの「インストラクターコメント」には、インストラクターからのアドバイスが記入される
実際のフィードバックシートの「インストラクターコメント」には、インストラクターからのアドバイスが記入される

 YRFSを体験したメディア関係者の言葉からも分かるように、YRFSはライダーの走行技量のステップアップに貢献できるシステムだ。今後の展開としては、販売店を対象にしたプログラムも検討中だという。

「販売店のお客様でレッスンを受講したい人に集まっていただいて、そこでYRFSを実施できないかと考えています。YRAにはローカルプログラムがいろいろありますが、例えばATの乗り方教室でYRFSを導入していこうかとか、販売店向けメニューの検討をしております」
(ヤマハ発動機CX事業本部企画戦略部マーケティング推進グループ主査・南雲修一さん)

 販売店が自店のユーザーを対象にしたライディングスクールや乗り方教室などを実施する際に、YRFSが利用できたら、開催の目玉になるだろう。この動きが加速することを、大いに期待したい。



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