公開日: 2021/07/27
更新日: 2022/09/06
近年、テレビやニュースで頻繁に取り上げられている言葉がある。「SDGs」だ。トヨタやユニクロなどの日本企業でも、これを目標に掲げた取り組みが活発に行われている。けれども、朝日新聞社が4月22日に公開した「SDGs 認知度調査(昨年12月に5000 人を対象に実施)」によると、55・4%の人が「この言葉を聞いたことがない」と回答。このことからも、名前は知っているけど、その意味はよく分からないという人も多くいるのが現状だ。SDGs とは一体どのようなものなのだろうか。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「SustainableDevelopmentGoals(持続可能な開発目標)」を略した名称で、2015年9月に、国連加盟国193ヵ国の全会一致で採択された世界共通の目標。2030年までに誰もが安定して暮らし続けられる社会の実現を目指し、17のゴールと169のターゲットを設定。「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。
この17のゴールには貧困をなくすこと、男女平等社会を実現すること、安全に暮らせる町づくりを進めること、気候変動から地球を守ること、平和な社会をつくることなどが定められている。また、169のターゲットには17のゴールを達成するための具体的な目標が記されている。
日本では政府が主に3つの取り組みを実施している。一つ目は、「実施体制の構築」。2016年5月に総理大臣を本部長、官房長官および外務大臣を副本部長、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置し、国内実施と国際協力の両面で率先して取り組む体制を整えている。
続いて二つ目は、「ジャパンSDGsアワード」。これは2017年より開始した、SDGs達成に資する活動を行っている企業や団体、教育機関などを表彰する取り組み。「見える化」することで、より多くの行動を催促するねらいがある。
そして三つ目は、「SDGs未来都市」。2018年よりSDGsを原動力とした地方創生を推進するため、「経済」「社会」「環境」の3つについての課題解決や新たな価値創造に向けて、優れた活動を提案する都市や地域を選定。その中でも特に先導的な取り組みを「自治体SDGsモデル事業」として選び、資金支援などによりモデル事例を形成している。
昨年6月30日に発表された「SDGs達成ランキング(持続可能な開発レポート2020)」で、日本は166ヵ国中17位。上位ではあるが達成しているのは「教育」「インフラ・産業化・イノベーション」「平和」の3項目。一方、主要課題にはジェンダー平等や海洋プラスチックごみ問題などが含まれており、早急の解決が求められている。
SDGsの達成には政府主導の取り組みだけでなく、企業や団体、そして個人レベルの活動が不可欠だ。サステナブル素材を使用した製品を購入したり、不要なアパレス品を捨てるのではなくリユースする、また食品ロスを減らすなど、私たち一人ひとりにもできることが数多くある。いまやSDGsは特別なものではなく、身近な問題となっているのだ。
人気記事ランキング