公開日: 2021/08/30
更新日: 2022/09/21
「長野県で大規模な試乗会が行われるらしい」「新型隼にも乗れる!?」など、一時ライダーの間で話題になったイベントがある。それは、"バイクショップレッドウィングマン春の大試乗会"。計8メーカー約30台のバイクが用意され、2日間で250人超の人が訪れた。このイベントを主催したのは、バイクショップレッドウィングマン(株式会社松田輪業商会/長野県上田市)の松田裕次社長である。
同氏は20歳の時、ホンダドリーム松本を運営する「株式会社サスナカ」に就職し、バイクの配送や営業などを経験。ドリーム松本では、4年間店長を務めた。ちょうどその頃、公私ともにお世話になっていたというバイクショップサイトウ(長野県上田市)の齊藤毅社長が逝去。こうした状況から、故人の奥様より店を継いで欲しい、との打診を受けた。これを受託した松田社長は2015年に入社。その翌年、代表取締役社長に就任した。そして2019年4月、作業スペース確保のため移転。これに伴い、店名を「レッドウィングマン」に変更した。
レッドウィングマンは、ホンダ、スズキ、ファンティックの正規ディーラー。さらに、ベネリの長野県総代理店でもある。けれども、ユーザーからの要望があるため、店内にはカワサキやヤマハ、ドゥカティ、BMWなど様々なメーカーの中古バイクが所狭しと展示されている。年間販売台数は、ホンダが半数を占める。また、新車と中古車の販売比率は1:1だと言う。この数字について松田社長は、
「私は業販も行っているので、新車が中古車と同じくらい売れています。元々営業で周っていた多くの販売店と今でもつながりがあるので、お互いに助け合っているのです」と説明する。
松田社長は、"バイクは楽しくなければいけない"という理念を掲げている。
「お客さんに提供できるのは、良質なサービスや安心感だけではありません。私は二輪車に乗ることの『醍醐味』を最大のポイントとして捉えています」
この考えのもと、レッドウィングマンではユーザーを楽しませる様々な取り組みが行われている。それらについて見ていこう。まず1つ目は、ツーリングをはじめ、ライディングレッスンやオフロード走行会、変わったところでは、マイクロバスをチャーターして日帰りで行く「東京モーターショーバスツアー」などのイベントについて。月に1回は実施し、多い時には週1回ペースでツーリングに行くこともあるという。冒頭で触れた試乗会についてだが、大盛況の背景にはSNSを活用した戦略があった。
「インスタグラムを使って、広告展開をしました。アプリをスクロールすると、突然レッドウィングマンの広告が表示されるのです。また当日は、SNSで試乗会の様子を呟いてくれた人に、バイカーズカフェ『Bird』さんのチーズバーガーを無料でプレゼント。これらの効果もあり、予想を上回るライダーが参加してくれました」
続いて2つ目は、レンタルバイク事業について。新型隼やハンターカブなど、最新モデルを揃えている。レンタル車両は、すべてユーザーのニーズに沿ってセレクトしているという。さらに、同店ではキャンセル料を一切、請求していない。これについて松田社長は、
「キャンセルの大半の原因は天候です。これには誰も逆らえません。お客さんには天気を理由にキャンセル料を払ってもらうよりも、他の自分の楽しみにお金を使って欲しい。また、キャンセル料がない方が利用しやすいと思います」と語る。
さらに、レンタルバイクは同店の存在やスタッフの対応などを知ってもらう、キッカケとしての役割が大きいと言う。実際に、レンタル利用から購入に至った人も決して少なくはないのだ。そして3つ目は、積極的に公開しているYouTubeについて。仕入車両の紹介をはじめ、先に述べた様々なイベント情報や様子などをアップロードしている。松田社長はYouTubeによる効果について、次のように説明する。
「全国のライダーに向けた広告媒体として、来店の動機付けになっています。実際に、埼玉県から新車を買いに来てくれたお客さんもいました。他にも、アナリティクスを通じて、どのバイクが人気なのかを知ることができます。再生回数を参考にしつつ、仕入れる車両を選んでもいます」
コロナの感染急拡大に歯止めがかからず、「第5波」が襲ってきているが、影響はあったのだろうか。
「売り上げは伸びましたが、客足は減りました。こうした中、多くのバイクを販売できた背景には、ネットの力が関係しています。WEBサイトは商品棚のような役割があり、今の時代、いくら在庫を抱えていてもSNSなどで公開しなければ、お客さんは見つけてくれないと思います」
他にも、コロナによって供給が追い付かない状況が続いたという。けれども、YouTubeやSNSなどを通じて在庫車の魅力を発信し続けることで、欲しい人を探し販売に結び付けることができたのだ。今後の目標について聞くと、"月100台販売すること"と言い切る。この数字は、日本開拓団として若い頃にメキシコに渡り、最近まで約20年間バイクショップを経営していた叔父のひと言が関係しているという。
「新年に話をした際、私は年間販売台数で3桁の数字を言っていたのに対し、叔父は月の台数で100台弱と口にしており、かなり衝撃を受けました。その時、月100台は売らないと一人前ではないと言われ、この目標を掲げています」
最後に、レッドウィングマンという店名の由来について紹介しよう。「レッドウィング」はホンダ車を主体とした販売を行っていることから、ホンダロゴの呼称を引用したもの。「ウィングマン」は、サポート役、助力する人という意味を持つことから用いたものだという。
「多くの人に支えられて今の自分、お店があります。そのため、サポートしてくれた人達へのお礼の意味と、いつかは自分が誰かのバイクライフを支えたいという思いを込めて、この店名にしました」
このように、いままで支えてきてくれたユーザーへの恩返しの思いが店名には込められており、また、バイクを楽しんでもらいたいという強い気持ちが、イベントやレンタルバイクのラインアップなどに表れているのだ。
「イベントの様子を撮影する際、どれだけバンクできるかとかではなく、人をメインに映しています。やっぱり、楽しんでいる姿を見るのが嬉しい。私が本当に好きなのは、バイクではなくお客さんなのかもしれないですね」
こう語る松田社長の表情は、笑顔であふれていた。
バイクショップレッドウィングマンYouTubeチャンネルはコチラ!!
https://www.youtube.com/channel/UC5_n46x3l5y4bslkeyThwiA/videos
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