公開日: 2022/02/24
更新日: 2022/09/06
最近、メディアを通じて頻繁に耳にする言葉がある。「メタバース」だ。昨年の10月28日には、アメリカの大手IT企業「フェイスブック」が会社名を、メタバースを由来とする「メタ」に改名することを発表し、大きな話題を呼んだ。なぜいま、メタバースに注目が集まっているのだろうか。
メタバースとは、“Meta(=高次の、超越した)“と“Universe(=宇宙・領域)“という言葉を組み合わせた造語。オンライン上に構築された仮想空間を意味し、自身の分身となるアバターを介して、各国のユーザーと交流を図ったり、様々なコンテンツを楽しむことができる。身近なもので言えば、動物たちが暮らす村で生活を送る「あつまれどうぶつの森」や、巨大なフィールドで武器やアイテムを収集しながらバトルを行う「フォートナイト」などが該当する。
このように、メタバースは以前からあるサービスだが、いま改めて注目されている背景には、主に3つの要因がある。まず1つ目は、技術の進歩によってメタバースがより身近な存在になったことだ。メタバースにアクセスするためには、VRをはじめパソコンやスマホ、ゲーム機などのデバイスが必要となる。従来、VRゴーグルやヘッドセットはとても高額な製品であった。けれども、いまはリーズナブルな価格で購入できるようになり、実際に自分が仮想空間にいるような没入体験を気軽に楽しめるようになっている。
2つ目は、コロナ禍において、非接触型サービスへの需要が高まっていることだ。例えば、コロナの影響で開催の延期や中止が相次いでいるライブなどのイベントも、仮想空間では対面せずに実施できる。このようにメタバースは、新たなコミュニケーションツールとして活躍の場が拡大している。
最後に3つ目は、メタバースをビジネスに取り入れる動きが加速していることだ。海外ではマイクロソフトやナイキ、日本ではソニーやグリーなど、ITをはじめ小売やエンタメといった様々な企業が参入・投資計画を表明している。カナダの調査会社「エマージェンリサーチ」は昨年11月10日、2020年に476億ドル(日本円で約5兆円)であった世界のメタバース市場の規模が、2028年には8289億5000万ドル(日本円で約96兆円)にまで拡大する、との予想を発表。ここからも、メタバースに対する注目度の高さを伺うことができる。
この他、ビジネス面では、仮想空間を仕事場として活用する動きもある。メタが展開するバーチャル会議室「ホライズンワークルームズ」では、Zoomなどのビデオ会議とは異なり、仮想空間上に複数のアバターが存在。立体音響により相手のいる方向から声が聞こえたり、コントローラーを使うことで机や壁に文字が書けたりもする。
今後、様々な企業からメタバースを活用したサービスが展開されることは間違いない。映画やアニメで目にしてきた仮想空間は、技術の進歩によって現実のものとなりつつある。
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