公開日: 2022/04/28
更新日: 2022/09/06
成人年齢の引き下げや様々な商品の値上げが始まった4月1日、新たに施行された法律がある。プラスチック新法だ。プラスチックごみ削減に関する取り組みとして代表的なものに、2020年7月より始まった「レジ袋の有料化」があるが、新法ではどのようなことが求められるのだろうか。
プラスチック新法の正式名称は、「プラスチック資源循環促進法」。プラごみの削減を目的に、リサイクルだけでなく、設計・製造・販売・提供・排出・回収といった一連のプロセスに注目。事業者・自治体・消費者に対して、プラスチック資源を循環させる取り組み「3R(リデュース・リユース・リサイクル)+ リニューアブル(再生可能な資源に替える)」を促進するねらいがある。
なお、プラスチック新法制定の背景には、近年、大量のプラごみが海洋に放出されていることや、2017年以降、中国やタイなどの東南アジア諸国がプラスチック廃棄物の輸入規制を強化したことがある。これらを受け日本では、国内における資源循環の必要性が高まりつつあるのだ。
プラスチック新法によって、私たちの生活で変化が見られるのは主に2つ。1つ目は、コンビニやホテルで提供される使い捨てプラスチック製品について。新法では12種類(フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、くし、カミソリ、シャワーキャップ、歯ブラシ、ハンガー、衣類用カバー)を削減対象としている。そのため、コンビニやスーパーではプラスチックスプーンやフォークの有料化をはじめ、木・紙製品への切り替え、声掛けによる提供を実施。また、一部のお店では持ち手部分を短くしたり、穴を空けることでプラスチック使用料を減らしたスプーンを提供している。
2つ目は、ゴミ出しについて。各自治体によって開始時期は異なるが、いままでお菓子の袋やカップラーメンの容器などが「燃えるごみ」や「燃えないごみ」に分類されていた地域で今後、プラスチック製品を「資源ごみ」として回収するケースが増えていく。実際に、渋谷区では7月からプラスチックの区分を「可燃ごみ」から「資源ごみ」に変更することを発表している。
プラごみ削減に関する取り組みは、2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定。2030年までに使い捨てプラスチックを累積25%排出抑制することや、容器包装の6割をリユース・リサイクルすることなどを目標に掲げている。その一環として行われたのがレジ袋の有料化であり、これはエコバックを普及させるなど、私たちの生活に大きな変化をもたらした。ただ、レジ袋だけではプラごみの大幅な削減には結びつかない。
プラスチック新法が対象としているのは、プラスチック製品全般。この法律の制定によって、持続可能な社会の実現に向けた動きが加速していくことは間違いない。1人ひとりの取り組みが、数十年後、結果として現れるのだ。
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