販売店取材考現学カワサキモーターサイクルショップアクト注目

モーターサイクルショップアクト 松沢 勇弥 店長(長野県伊那市)【販売店取材】

公開日: 2022/06/30

更新日: 2022/08/03

モーターサイクルショップアクト 松沢 勇弥 店長


東京で腕を磨き、23歳の時に家業に就いた松沢勇弥氏。昨年、27歳で店長になった同氏は、ライディングスクールの開催や「Ninja Team Green Cup」参戦へ向けた練習など、新たな取り組みに挑戦。アクトで車両を購入する付加価値を生み出しながら、ユーザーにバイクに乗る楽しさと安心を提供している。

今年の営業テーマは“発色発光”。SNSを通じてアクトの付加価値を積極的に発信

<center>アクトは国内4メーカーの正規取扱店。店内はカワサキの新車が整然と並ぶ</center>
アクトは国内4メーカーの正規取扱店。店内はカワサキの新車が整然と並ぶ

西に中央アルプス、東に南アルプスと大自然に囲まれた長野県伊那市に店を構える、1988年創業のモーターサイクルショップアクト(以下、アクト)。同店の舵を取るのは、松沢勇弥氏。今年28歳を迎える若き店長だ。

松沢店長は18歳の時、ホンダテクニカルカレッジ関東に入学。卒業後、東京都内に6店舗を構える桜井ホンダに入社し、3年間勤務した。松沢店長は、桜井ホンダで学んだ3年間について、大きな財産になっている、と当時を振り返る。

「桜井ホンダは、1人のスタッフが接客や販売、整備のすべてを担当する店でした。そのため、バイクショップで働く上での基本中の基本から応用に至るまで、あらゆるノウハウとスキルを教えて頂くことができました。いまの私があるのは、この経験があったからと言っても過言ではありません」

そして、桜井ホンダでの修行を終えた23歳の時、家業に就いた。4年後の2021年には、父親の松沢社長が事業拡大のため別会社を設立し、カワサキプラザ松本をオープン。これに伴い、勇弥氏はアクトの店長に就任した。つまり、アクトを存続させることで、プラザとの2拠点体制を敷く道を選んだのだ。以降、同氏と母親の日登美さんが中心となり、アクトの営業を続けている。

<center>カワサキ正規取扱店サービス協力店“優秀賞”を9回も受賞</center>
カワサキ正規取扱店サービス協力店“優秀賞”を9回も受賞

アクトは国内4メーカーの正規取扱店。昨年の販売台数のうち新車は7割、中古車は3割で、カワサキ車が全体の8割を占めているという。

「父親の代から、周辺にカワサキ車のディーラーが少なかったこともあり、カワサキをメインに販売していました。そのため、お客さんにとってはアクト=カワサキのイメージが強いんです。また、コロナ禍にあっても、カワサキ車は定期的に入荷するので、お客さんにも喜ばれています」

昨年の新車購入者のうち、4割が初めてバイクを購入する、いわゆるビギナーライダーだと松沢店長は言う。そのため、同店での購入者の中心層は20代で、全体の4割を占めている。これについて母親の日登美さんは、「店長が家業に就いてから、若いお客さんが確実に増えています」と言う。

また、アクトはカワサキ正規取扱店サービス協力店の表彰で“優秀賞” を2012〜17年、19〜21年と複数年受賞している。これは販売だけでなく、初回点検や定期点検といったアフターサービスなど、「サービスの品質」「整備技術」「顧客満足度」の高い正規取扱店に送られる賞。昨年は、特に受賞を意識した1年だったと松沢店長は語る。

「店長になって1年目の年だったので、受賞できなかったらお客さんに顔向けできないと思い、毎日のように数字を確認していました。無事に達成でき、本当に嬉しかったです」

さらに、同店はカワサキプラザサービス協力店として、プラザで販売されているケアモデルやメンテナンスパック付帯車両の整備も実施している。

3月にはライディングスクールを初開催

<center>アクトの新たな付加価値となった「アクトセーフティーライディングスクール」</center>
アクトの新たな付加価値となった「アクトセーフティーライディングスクール」

アクトは今年、例年とは異なる目標を掲げて営業をしている。そのテーマは“発色発光”。これについて松沢店長は、次のように説明する。

「新車の販売網が大きく変わったいま、アクトでしか体験できないオリジナルメニューやカスタム、イベントなどを実施して付加価値という色を出す。そして、それらの活動を多くのライダーに知ってもらうためにSNSで積極的に発信し、アクトの魅力を輝かせていくことを目指しています」

これは具体的にどんな取り組みなのか。それぞれについて見ていこう。

アクトでは車検と定期点検において、点検をメインとする「スタンダード」の他、分解メンテナンスまで行う「プレミアム」コースを用意している。これは、松沢店長が考案したメニュー。ブレーキを点検する際、パッド残量の確認だけでなく、面取りやキャリパーの揉み出しも実施。さらに、パーツごとに作業過程やビフォーアフターを撮影して紙に出力し、バイクの健康状態を目に見えるようにもしている。

また、松沢店長はディテールにこだわったカスタムを得意とする。例えばドラレコを取り付ける際、ただハンドルに設置するのではなく、お客さんに許可をもらいアッパーカウルに穴を空け、そこに埋め込んでいく。この見た目にこだわった施工は、県外のライダーからも依頼されるほど人気がある。

他にも、“アットホームで遊びに本気なバイクショップ” というモットーのもと、毎月1回以上イベントを実施している。

「29歳以下限定の『U29ツーリング』、女性ライダー限定の『女の子ツーリング』、緑色のバイク限定の『みどりの日ツーリング』など、条件を特定して行うことで、お客さんが参加しやすいようにしています」

今年の3月には、“速さが全てじゃない、安全に美しく愛車を乗りこなそう”をテーマに設定した「アクトセーフティーライディングスクール」を初開催し、ライダー20人が参加した。メイン講師をスタッフが務め、それをバックアップするアドバイザーとして、2016年の鈴鹿8耐でSSTクラス優勝の経験を持つ東村伊佐三選手を招待。発進や停止、ブレーキング、ライディングポジションの確認など、基本操作のレッスンをメインに行った。同イベントの開催理由について、松沢店長は次のように語る。

「一番の目的は、お客さんにバイクライフを楽しんで頂くため、安全運転の知識やスキルを身につけてもらうことです。また、私たちが安全運転について直接アドバイスを行うことで、さらなるお客さんとの信頼関係構築やスタッフ自身のレベルアップにもつなげていきたいと考えています」

スタッフ個人のアカウントを作成してSNSを運用

<center>松沢店長の愛車、Ninja Team Green Cup仕様の「Ninja ZX-25R」</center>
松沢店長の愛車、Ninja Team Green Cup仕様の「Ninja ZX-25R」

アクトでは、先に述べた、見た目にこだわったカスタム事例やツーリングイベントの様子を、ツイッターやインスタグラム、HP内ブログなど複数のSNSを活用して積極的に発信している。特筆すべきは、スタッフ個人のアカウントがあること。

「以前SNSの勉強会に参加した時に、スタッフの“個性”と“顔”を出すことが重要だと教わり、好きなことをつぶやくようにしています(笑)。最近では、“アクトの勇弥”と県内外のライダーにも認知されるようになり、初来店のお客さんに『初めて会った気がしない』と言われることもあります」

松沢店長のツイッターフォロワー数は、6月末時点で約2900人。一般的なバイクショップのフォロワー数を見ても、1000人を超える店はあまり見られないため、同氏がいかに多数のライダーから支持されているかが伺える。

また取材中、松沢店長が「自慢してもいいですか」と前置きしたうえで、笑顔で見せてくれたのが、イベントの様子をまとめたフォトアルバム。これは、母親の日登美さんの手によるもので、年ごとにまとめられており、古くは1990年代のものまで大切に保管されている。アクトではSNS上に写真を掲載するだけでなく、同店に来店した常連客が見返せるよう、さらに新規ユーザーに紹介できるよう、思い出を欠かさず形に残しているのだ。

バイクに乗る楽しさと安心をユーザーに提供し続けている松沢店長だが、今後のビジョンをどう描いているのか。これについては、「人気が高いNinja ZX-25Rをアクトで購入してもらうための付加価値を生み出すこと」と述べる。

「ZX-25Rを購入してくれたお客さんにツーリング以外の新たな遊びを提供するため、10月に鈴鹿サーキットで開催される『Ninja Team Green Cup』への参戦を目指しています。そのため、まずは自分が体験することが大切だと考え、私も25Rを購入。現在、お客さんと一緒にサーキット走行の練習を行っています」

アクトでバイクを購入する付加価値を生み出すため、新たなことに挑戦し続けている松沢店長。同氏が多くのライダーから支持される理由は、ユーザーと共にバイクライフを楽しむ、ひたむきな姿勢にあるのだ。

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