コラム

中古家電ビジネスに大手メーカーも注目。なぜいま、中古家電の需要が拡大しているのか?

公開日: 2022/07/27

更新日: 2022/09/06

日本は現在、コロナ禍における経済状況の停滞や止まらない円安などを背景に、様々な商品の値上げラッシュに直面している。そのような中、私たちの生活に欠かせない、ある製品のニーズが大きな高まりを見せている。中古家電だ。今回は、なぜいま関心が寄せられているのかについて見ていく。

中古品の特長は、なんと言ってもお手頃な価格ですぐに手に入れられるところにある。近年では、セカンドストリートやトレジャーファクトリーなどの“総合リユースショップ”をはじめ、メルカリやラクマなどの“フリマアプリ”が普及している。そのため、いまや中古品は手軽に購入することができる。

中古・リユースビジネスに関する総合ニュースサイト「リサイクル通信」が昨年9月17日に公開した『リユース業界の市場規模統計』によると、2020年の家電を含む中古品全体の市場規模は約2兆4000億円を記録。同市場は、調査対象とした2009年以降11年連続で拡大しており、2025年には3兆5000億円まで成長すると予測されている。

中古家電ニーズ拡大の背景にある3つの要因

今日、中古家電が注目を集めている背景には3つの要因がある。まず1つ目は品不足。コロナ禍における世界的な物流網の混乱に加え、中国のロックダウンなども加わり、家電製品に必要となる部品の供給が滞っている。そのため、いまの時期欠かすことのできないエアコンなど一部の製品が品薄状態になっており、中古品を選ぶ人が増えている。

2つ目は、冒頭で述べた物価高。食品や日用品などの値上がりで家計が圧迫されていることもあり、価格を重視する人が増加している。

3つ目は、SDGs意識の浸透。世界的な社会課題の解決に向けた取り組みや資源の有効活用への関心が高まり、中古品を使用することの抵抗感を減らしている。

中古家電需要が拡大する中、大手家電量販店のヤマダホールディングスは5月20日、使用済み家電のリユース製品の増産体制構築を目的として、リユース専用工場「ヤマダ東日本リユースセンター」を設立した。同工場では店舗で買い取った冷蔵庫や洗濯機などの分解洗浄をはじめ、修理、動作確認を行い、再製品化を実施。リユース製品は独自の環境マーク“YAMADA GREEN”認定商品として、全国のヤマダ電機アウトレット店舗で販売する。

また、24時間営業の無人家電量販店「Go12(ゴジユウニ)」という新たなビジネスも誕生している。販売する商品は全てリユース家電で冷蔵庫と洗濯機は1万100円(税込)、電子レンジは5500円(税込)、24〜32インチのテレビは1万6500円(税込)の一律料金で販売。商品はすべて殺菌クリーニング済みで、1台いち台検品・検査を行っており、90日間の保証も付いている。

今後、中古家電のニーズがさらに拡大することは間違いない。ただ、言うまでもなく、中古品にはメリットとデメリットが存在する。保証の有無や検品の質などは様々であるため、どこで購入するかが中古家電を購入する際のポイントとなりそうだ。

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