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軽二輪、小型二輪の販売台数が夏場にトーンダウン。円安、物価上昇が消費者マインドに影響?

公開日: 2022/10/03

更新日: 2022/10/03

軽二輪、小型二輪の8月の新車販売台数が発表された。7月から下落傾向にあった台数は、軽二輪はほぼ横ばい。小型二輪はさらに減少した。軽二輪については、7月に前月比1295台減の5879台と大きく減少。8月に入り5977台とわずかに持ち直したが、6000台には届かなかった。前年同月比では759台の減少。ただ、1月からの累計台数では、2021年の5万1856台に対し2022年は5万0464台と1392台少ない。

月別の傾向を見ると、6月までは、右肩上がりで推移していが、7月に入ると今春の水準に戻り、8月に入っても横ばい傾向が続いている格好だ。メーカー別8月実績はどうか。前月比では大きな差異はないが、1~8月累計ではメーカー格差が生じている。前年同月比では、スズキが大幅に伸長。918台に対し1104台の120.3%と気を吐いている。都道府県別では、一都三県および近畿圏、中京圏に集中しているのが分かる。最多は言わずもがなの東京で計728台。それに次ぐのが神奈川の607台。大阪が500台で埼玉398台、愛知365台、千葉288台と続く。

次に小型二輪。需要期の4月に1万2021台と台数を伸ばしたが、6月の9399台をから徐々に下落。7月は8165台、8月は7465台にまで下がっている。前年同月比では、軽二輪とは異なり273台ではあるが上昇。1月から8月の累計では1万1207台伸ばしている。ここでも軽二輪とは逆の展開となった。メーカー別8月実績を見ると、対前月比では、スズキが701台と112%。他のメーカーは前月実績を割り込んだ。カワサキは75.1%と下げ幅が大きい。前年同月比では、メーカーによって格差が大きい。最も伸びたのはホンダで2400台の135.6%。一方、ヤマハは799台で48.7%と50%を割っている。

都道府県別では、近畿圏、中京圏への集中という構図は軽二輪と同様。東京が882台で神奈川628台、大阪467台、愛知489台、埼玉469台、千葉401台となっている。

四輪・二輪など耐久消費財全体の増加は小幅にとどまる

7月から下落傾向にあった台数、軽二輪はほぼ横ばい、小型二輪はさらに減少
7月から下落傾向にあった台数、軽二輪はほぼ横ばい、小型二輪はさらに減少

6月から夏場にかけて、台数は増加に向かうのが例年の傾向だが、今年は小型二輪、軽二輪ともにそれが希薄。これらの要因として考えられるのは、グローバルでは各メーカーとも欧米諸国、アジア、中南米で販売台数を増やしたものの、半導体や樹脂不足が影響し、比較的利益率の高い高単価車両を中心としたモデルの供給が滞っていること。

また、連日のように報道されている、日米金利格差拡大に起因する円安問題や、それに伴う物価上昇圧力が消費者マインドや購買力低下を招いている可能性もある。

MUFG( 三菱UFJフィナンシャルグループ)の調査によると、家計関連では、宿泊・飲食サービス、旅客輸送、レジャーといった対面型サービスへの需要は前年同期比プラス1.4%となったが、二輪や四輪などの耐久消費財については、プラス0.9%と小幅増。生産が追いつかないという理由もあるが、物価上昇の影響によって購入を抑制する動きが出た可能性も考えられる。

ホンダは2025年までに、世界市場に電動車10モデル以上を投入していくことを発表

この原稿を書いている9月13日、ホンダは記者発表を行い、2025年までに、世界市場に電動車10モデル以上を投入していくことを発表した。2025年というと、あと3年である。当然、他のメーカーもラインアップを強化することが考えられるが、そうなると、軽二輪・小型二輪の台数構造にも変化が表れるだろう。

コロナ禍から始まった二輪業界における“地殻変動”だが、いずれ収束を向かえても、さらなる変革が待ち受けることになる。加えて、すでに深刻な問題となっている生産年齢人口の減少も懸念材料。内閣府の発表によると、生産年齢人口2065年には2020年における約7400万人から6割ほどダウンするという。まだ先の話ではあるが、現実問題として認識し、来るべき需要の変化に備えておく必要はあるだろう。

好調を維持してきた軽二輪、自動二輪の新車販売台数だが、7月、8月と夏場にかけて若干の台数低下が見られる。世界的にはウィズコロナ下での経済活動が再開されており、アジア経済は持ち直しつつあると言われる中での足踏みとなった。

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