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3分でわかる中古二輪車ビジネスの“ツボ”「ユーザーが他店でバイクを買った。その訳とは?」

公開日: 2023/04/03

更新日: 2023/12/14

多かれ少なかれ、どの店にも常連はいる。年齢もバイクの趣味も様々だと思うが、最近、複数の販売店からこんな話を耳にした。このところ姿を見ないと思っていた常連がある日、フラッと店に来たと思ったら、「乗っていたバイクが別のバイクに変わっていた」「欲しいと言っていたパーツに換装していた」といった話だ。

来店に抵抗感はなしでは、どこに理由があるのか

YZF-R25を中古で買ってくれたのに、いつのまにかYZF-R1に乗り換えていた
YZF-R25を中古で買ってくれたのに、いつのまにかYZF-R1に乗り換えていた

「Aさんは5年前、ウチでYZF-R25を中古で買っていただいたのですが、いつのまにかYZF-R1に乗り換えてました。他の店で買ったそうなのですが、ウチに来てそれを普通に話しています」

こうした状況に遭遇した時、真っ先に思うのは、「なぜウチで買ってくれないのか」ということだろう。でも、その理由を聞くことは、そうできるものではない。結果、「どうするかはお客さんが決めることだから」となる。考え方は人それぞれだから仕方がない、と思うのは楽だが、その前に、そうなった理由について考えてみたい。

店が中古を主体としており、ユーザーも中古を探していたとする。この場合、ほぼ間違いなく店へのオーダーは可能だ。在庫がなければユーザーの予算に応じオークションで仕入れを起こせばよい。にも拘わらず依頼がなかったということは、価格設定や適用金利などが原因であることも考えられる。ただ、他店で購入した後も、店に来るということは、少なくとも来店に対する抵抗感はないことが分かる。スタッフや他の常連との話が楽しい、といった理由もあるだろう。決して居心地は悪くないはずだ。そうなると、前述の通り価格の問題や、全く意図しないところでの店の対応に原因があることも考えられる。

常連客が潜在的に感じている6つの心理とは何か

ユーザーから代替えの意思を聞かされていたか否かも大きなポイント。もし前者なら、ユーザーの納得性が得られる対応ができていなかったのかもしれない。後者の場合は、店が最初から購入対象としてみなされてなかった公算は高い。友人間の個人売買や予算の関係からネットで購入するケースなどもあるだろうが、平素からユーザーが何を望んでいるのか、バイクに対する思いがどのように移り変わっているのか、などについてリサーチしておく必要があるだろう。

マーケティングライターの喜多濃英昭さんによると、ユーザーには、潜在的に6つの心理があるという。

①歓迎してほしい
②独占したい
③優越感に浸りたい
④損をしたくない
⑤自分が一番でいたい
⑥不安をなくしたい


これについて、同氏は次のように語る。「このなかの何か一つでも欠けていると、不満に思うのです。例えば②の『独占したい』。これは、複数いるユーザーのなかの1人ではなく、常に1対1で向き合って欲しい、という思いです。⑤の『自分が一番でいたい』も、②に通じるところがあります。自分に気を掛けてくれている、と感じてもらえるような、声掛けが重要です。⑥の『不安をなくしたい』については、ユーザーから出ている何かしらのメッセージ、これを逃さないようにするべきです。自分のバイクに対する不満があり、それについて何かを語っていた場合、その思いが急激に増幅し、それが代替えに結び付くことも十分にあるのです」

言われれば、なるほど、と思うものばかりだが、すべてに共通しているのは、ユーザーに対する気付きである。雑談も大切だが、同時にそこからユーザーのニーズや不満、例えば、「R25も5年目だからなァ」や「大きいバイクもいいね」など、変化を感じる言葉がなかったのかを察知することが求められるだろう。



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