公開日: 2023/04/19
更新日: 2023/04/20
スズキ「TS185ER」シリーズ第2弾は、バイクジャーナリスト小林ゆきさんが試乗インプレ! 「TS」はスズキでもかなり伝統的な車種の名前。1970年代からあるストロークのトレールバイクです。2ストロークの単気筒、空冷エンジンは現代ではとても珍しい車両となっています!
まずは一般道を走行していきます。エンジンはキックスタートとなっておりますが、掛けた瞬間の音の迫力!2ストロークってこうでしたっけ? ってくらい、トルクが太くてかなり力強いです。アップタイプマフラーの鼓動が非常に伝わってきます。只今1本道を時速40km、4速で走っておりますが、4速ギアチェンジをしないでそのまま走っていられるエンジンのフィーリングです。
では幹線道路に入っていくので少しスピードを上げていきます。加速感が強いですが、ギアを下げたときの、バックトルクの感覚が実に気持ちいいですね!4ストローク単気筒のバイクだと、インジェクションによってシフトダウンした時のバックトルクが減速する感覚が調整されているものも多くなってきましたが、この振動の響きは2ストロークのバイクじゃないと感じられないと思います。若い方だとストロークってどんなものなの? キャブレターの乗り味やお手入れって難しくないの? と不安に思う方もいるかもしれませんが、初めて2ストロークキャブレターに乗る方でも難しくないバイクだと思います。それでいて185ccで高速道路も乗れちゃうので、その辺非常に頼もしいですね。
おまちかねのダート走行いってきます! 非常に乗りやすいTS185ERが、ダートではどんな乗り味になるのかチェックしていきます。まずは座った状態で走行していきます。とてもパワーがある分、不用意にアクセルを開けるとタイヤがすべってしまうので、2速で遊ぶ感じですね。芝生だからっていうのもありますが、リアタイヤが滑っている感覚が凄く分かります。ですが足つきが良いので安心感もありますね。
では斜面を上り下りしてみます。下りた時にリアサスが衝撃を吸収しているのが凄く分かります。ちょっとスピードを出して斜面を上ってみても、底突きはないです。上手い人が乗ったらいくらでも遊べると思います。楽しすぎて、いつまででも走っていられそうですね。
ではハンドリングを確かめていきます! 大きく8の字走行してみると、このままスポーツできちゃいそうな感じです。タイヤの細さはありますが、前後バランスが非常によくて、ライダーの姿勢を変えずにスポーツしていけます。フロントのハンドルがニュートラルな感じですが、思った以上に小回りですね。他の250ccのオフロード車と比べると、やはりホイールベースが短いためだと思います。走りも非常に安定していますし、ハンドリングに全く癖がないですね。
さらに小さく回ってみると、切り返しがクイックなので、人間が振り回されているのをバレないように運転している感じです。慣れたらもっとキビキビ行けると思いますが、よりオフロードっぽくするんだったら、ローギアにして、片足を前に出してターンするともっと小さく回れるのではないかと思います。続いて立ち乗りしてみると、ハンドルが割と近めでコントロールが効くので、とても運転しやすいですね。林道に行って立ちながら遠くを見渡したい時とか、石がゴロゴロしている時でも楽ちんです。
社内の広大な敷地でハンドリングとブレーキチェックをしながら走ります。まずはフロントブレーキだけ掛けてみると、やはりオフロード車なので、急なブレーキが掛からないような設定になっている様子。リアブレーキだけを掛けてみると、車体が軽いのでコントロールしやすいです!
2ストローク短気筒エンジンが現代に残っているのは本当に奇跡です。エンジンを掛けてみないと、乗ってみないとわからない楽しさがありますので、気になっている方は選択肢の1つに入れてみて下さい!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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