ホンダスズキカワサキヤマハイベント注目

Japan Mobility Show開催! すぐそこじゃない。もうちょっと先の未来を感じたイベント

公開日: 2023/12/04

更新日: 2023/12/04

クルマやバイクなど乗り物全般の一大イベント『東京モーターショー』が『JAPAN MOBILITY SHOW』として生まれ変わり、10月26日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催された。「乗りたい未来を、探しに行こう」をテーマに、未来感あふれるモビリティが会場に並んだ。2021年の東京モーターショーは中止となったため、4年ぶりの開催となった今回、会期中に111万2000人が会場へ足を運んだ。

ジャパンモビリティショーの歴史は約70年前に日比谷公園から始まった

キッザニアとのコラボエリアでは、子供たちがモビリティに関わる職業を体験
キッザニアとのコラボエリアでは、子供たちがモビリティに関わる職業を体験

1954年、東京都千代田区にある日比谷公園内広場で267台の展示車両(乗用車は17台)を集めてスタートしたのが『全日本自動車ショウ』。1964年には『東京モーターショー』と名称を変更。1973年までは毎年開催されていたが、第一次オイルショックを機に隔年開催となる。会場も日比谷公園、日本貿易センター(東京都中央区・晴海)、幕張メッセ(千葉県千葉市)を経て、2011年からは東京都江東区の東京ビッグサイトに移り、現在に至る。

そして今回、名称を『JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー、以下JMS)』に変更。10月26日から11月5日まで、「乗りたい未来を、探しに行こう」をテーマに、東京ビッグサイトで4年ぶり(2021年は中止)に開催された。もちろん、名前が変わっただけではない。内容もパワーアップしている。際立っていたのはエンターテインメント要素の増加だ。その他、最も強く感じたのは、展示車両について。近い将来に市場へ導入されるモデルのお披露目というよりは、コンセプトカー的な出展が増え、未来色の濃いものとなったこと。

また、今回も子ども向け職業体験型施設『キッザニア』とのコラボレーションを継続。東京モーターショーというと、クルマ・バイクファンがターゲットというイメージがあったが、より広いターゲットにモビリティを訴求するイベントになった感がある。

エンタメ要素で言えば、『H2 Energy Festival』。前回(2019年)は、吉本芸人による『よしもとステージ』のほか、週末にはDJや音楽アーティストによるパフォーマンスが毎日行われていた。今回は、週末以外にも音楽アーティストのライブが増えたほか、前回同様に『吉本お笑いステージ』、FMラジオ番組の公開生放送などもあり、バラエティに富んだステージを展開していた。

陸・海・空の大きな枠でモビリティを捉えたホンダブースでは、二輪の展示は限定的

未来的なモビリティから市販モデルまで幅広く展開したスズキブース
未来的なモビリティから市販モデルまで幅広く展開したスズキブース

東京モーターショーの生まれ変わりがJMSとなると、どんなワールドプレミアモデル(世界初公開)やジャパンプレミアモデル(日本初公開)が出てくるのかと期待するだろうが、二輪で言えば『モーターサイクルショー』や『EICMA(エイクマ)』とは明らかに方向性が違うモビリティイベントとなった。

例えばホンダ。前回はワールドプレミアモデルが『CT125(コンセプトモデル)』『BENRY e:(市販予定モデル)』『GYRO e:(市販予定モデル)』。ジャパンプレミアモデルが『CRF1100LアフリカツインスポーツESデュアルクラッチトランスミッション』『ADV150(市販予定モデル)』『ゴールドウイング・ツアー・デュアルクラッチトランスミッション(市販予定モデル)』など、世界初公開モデルが3台、日本初公開モデルが3台。そのほか、市販モデルが7台、コンセプトモデルが1台。それだけの二輪車が展示されていた。

しかし、JMSでは、コンパクトな電動モビリティを除くと、展示されていた二輪車は交換式バッテリー『ホンダ・モバイルパワーパック e:』を搭載するスクータータイプの電動モビリティ『SC e: コンセプト』がワールドプレミアモデルとして公開されたにとどまる。これは、これまでのクルマ・バイクという枠ではなく、陸・海・空という大きな枠でモビリティを捉え、ジェット機(実物大のモックアップモデル)なども展示されていたためだ。広い領域でモビリティを展開しているホンダならではのブースだと言えるだろう。

同じく四輪車も展開するスズキでは、ワールドプレミアモデルの原付一種折り畳み電動モペッド『e-PO』、同じくワールドプレミアモデルの電動モビリティ『e-チョイノリ』、実証実験車のガチャコ交換式バッテリーを搭載した『e-バーグマン』の3車種が参考出品された。このほか、市販モデルとして『ハヤブサ』『Vストローム800』『GSX-8S』『Vストローム250SX』が展示されていた。

来場者の目を惹きつけていたのは電動のチョイノリ。2003年に発売されたチョイノリをベースに電動アシスト自転車電動ユニットを組み合わせた近距離用のモビリティだ。

ワールドプレミアモデルを揃えたカワサキとヤマハ。展示車両の方向性に違いも

「MEGURO S1」「W230」の発表で話題となったカワサキブース
「MEGURO S1」「W230」の発表で話題となったカワサキブース

モーターサイクルショーや、これまでの東京モーターショーに近い展示をしていたのはカワサキ。ワールドプレミアモデルはいずれも参考出品車だが『W230』『MEGURO S1』『KLX230』『Ninja ZX-10R 40thアニバーサリーエディション』『Ninja ZX-4RR 40thアニバーサリーエディション』の5モデル。ジャパンプレミアモデルが『Ninja 7ハイブリッド』『Ninja e-1』。世界初公開が5台、日本初公開が2台。

JMSの終了から2日後の11月7日、イタリア・ミラノで『エイクマ2023』が開始され、そこでもカワサキは『Ninja 500』『Z 500』『Ninja 40thアニバーサリーエディション』の発表をするなど、短期間でいくつものニューモデルを公開。2つのショーにおいてカワサキは、先の未来だけではなく、すぐそこの未来も見せてくれた。その意味で、JMSのカワサキブースではこれまでの東京モーターショーらしさを感じることができた。

カワサキで来場者が特に見入っていたのは、W230とメグロS1。ともにクラシカルな、バイクらしいバイクといった2モデルだ。X230は、シート高が低く車重も軽量なイメージ。女性からの人気が高まりそうな雰囲気がある。それだけに、発売時期が気なるところだ。

ヤマハは、いずれも参考出品車だがワールドプレミアモデルとして『モトロイド2』『ELOVE(イーラブ)』『E-FV』『Y-00Z MT B』『Y-01W AWD』『TM W』を展示。また、『YZF-R125』『MT-125』『XSR125』など、モーターサイクルショーでも話題になったモデルが並んだほか、さらには発表されたばかりの話題のモデル『XSR900GP』も展示。同車は、日本において来夏以降に発売予定となっており、来場者の中でも特に50代以上と思われる人から熱い視線が注がれていた。

カワサキ同様にワールドプレミアモデルが多数展示されたが、今すぐ発売されてもおかしくないモノというよりも、未来感の強いモデルが多く、カワサキとは展示の方向性が違っていたのが印象的だった。

JMSとモーターサイクルショー。今後さらに方向性の違いが明確に

音楽とバイク、2つのヤマハが様々な提案を行ったヤマハブース
音楽とバイク、2つのヤマハが様々な提案を行ったヤマハブース

カワサキの部分で少し触れたが、11月7日からエイクマ2023がスタート。そのこともあり、JMSでは市場にすぐ出てきそうなモデルよりも、未来的な車両が多かったのかもしれない。また、JMSに先駆けて行われた自工会二輪車委員会主催のメディアミーティングでも、よりコアなバイクファンに向けて開催するのはモーターサイクルショー、広く一般にモビリティを訴求したり未来の提案をするのはJMS、といった棲み分けが進む、という話も出ていた。

JMSでは未来の東京を体感する『Tokyo Future Tour』も実施。イベント全体として未来感を強く意識していたことから、二輪分野においてもJMSとモーターサイクルショーなどとの方向性の違いは、今後さらに明確になっていく可能性は高い。例えば、ほぼ同時期に行われるエイクマと同じような内容のものであれば、JMSではなくエイクマでいいのだ。

今あるものや、すぐそこの未来を見せるモーターサイクルショーやエイクマ、その先にあるモビリティの未来を提案するJMS。そうなっていくことで、それぞれのイベントの存在感も強く大きくなっていく。新しく生まれ変わったJMSから、そのような感じを受けた。



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