コラム

自動運転レベル4の普及に向け専用電波を割り当て。ホンダは2026年に自動運転タクシーサービスを開始

公開日: 2023/12/29

更新日: 2023/12/29

昨年10月26日から開催された『ジャパンモビリティーショー2023』で、ホンダは「クルーズ・オリジン」、日産は「ハイパーツアラー」を初公開するなど、様々なメーカーが発表を行った自動運転車両。総務省は2026年度に、「自動運転レベル4」の普及に向けて専用電波を割り当てることを発表している。では、なぜ専用電波が必要なのか。

昨年4月、改正道路交通法が施行され、限定地域での「自動運転レベル4」の公道走行が解禁された。自動運転時は、車載システムが運転時の操作や判断などを行っているが、この判断をシステムがどこまで行うかによって、0~5までの6段階でレベルを区分。現時点ではレベル3までのクルマが商用化されている。

ちなみに、「自動運転レベル4」では自動車専用道路をはじめ、特定の敷地内や送迎ルートなどの限定された条件下において、自動運転が認められている。また、ドライバーは運転席を離れることができ、運転中にスマホやテレビの視聴をはじめ、パソコン操作やゲーム、読書などを車内で行うことが概ね可能になるとも見込まれている。つまり、いままでは娯楽のための移動であったが、これからは移動すること自体も娯楽に変わろうとしているのだ。

専用電波は主要各国と同じ周波数帯を検討

自動運転は、専用電波を通じて周辺のクルマや道路上の管制設備と情報を直接やりとりし、人が操作せずとも車線変更や合流ができるようになる。現在も自動車向けに割り当てられている電波はあるが、近距離における衝突回避などの運転支援システムに用途が限られていた。けれども、「自動運転レベル4」の普及に向けては、通信を安定させ自動運転の精度を高める必要があるため、専用電波を割り当てることとなった。

検討中の電波は、中継車やヘリコプターからの映像伝送など、放送用に使われている5.9GHz帯の一部であり、アメリカやヨーロッパ諸国、中国は同周波数帯を活用した自動運転システムの導入をすでに進めている。つまり、主要各国と同じ周波数帯にすることで、対応車両や関連部品など、日本企業の開発を後押しするだけでなく、それらの商品をグローバルに展開しやすくする、というわけだ。

ホンダはアメリカの企業と協業し、2026年初頭に東京都内で、冒頭で触れた「クルーズ・オリジン」を使用した自動運転タクシーサービスの開始を予定するなど、「自動運転レベル4」に向けた取り組みは加速度が増している。政府は2027年度までに、100箇所以上で自動運転による移動サービスの提供を計画。自動運転の想定されるスケジュールとしては、2030年頃に専用電波対応の車両が普及し、2040年頃にはレベル4の自動運転が一般化しているという。

自動運転車両が普及すれば、危機感から普段クルマを運転しないような人でも気軽に乗ることができようになるなど、私たちの生活に大きな影響を与えることは間違いない。けれども、環境やルール整備など、解決しなければいけない課題も山積している。今後、自動運転の未来がどのように展開されていくのか、いまから待ち遠しい。



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