公開日: 2025/05/20
更新日: 2025/05/20
20坪の店舗で行っていたトラッカー系中古バイクの販売から徐々に路線変更。外車オンリーの、ニッチ路線へと舵を切り、現在は10メーカーを超える、ややマニアックなブランドを扱うSPEED。基本的な考え方は、「車両販売」とそのユーザー車両の「メンテナンス」だ。そのための手段は工賃の差別化。自店ユーザー以外は倍の設定。ある意味、ユーザーを選ぶやり方で現在の地位を確立した。目下の目標は販売力の強化。そのための手段として販売マニュアルを作り上げた。
SPEEDの現在における販売ベストメーカーはロイヤルエンフィールドとカンナム、そしてMUTTであることは前述の通りだが、それぞれの人気ベスト3を見てみよう。まずロイヤルエンフィールド。
①メテオ350 ②クラシック350 ③ブリット350
共通のプラットフォームを持つ350ccシリーズが高人気で650ツインシリーズは、やや大人しいという。続いてカンナム。
①スパイダーRTリミテッド ②ライカー600 ③F3-S
ラグジュアリーツーリングの最高峰であるRTシリーズの人気が圧倒的に高い。2位以下に大差はないという。次にMUTT。
①ヒルツ250 ②アキタ250 ③FSR250
3車種の他、Sabbath250やMongrel250、昨年末に発売されたDRK-01250はどれも僅差だという。
「ロイヤルエンフィールドは女性人気が高い、というのは、当時の記事を読んで知りました。その時、気になったのはインド製というところでした。でも、実際の声を聴くと、お客さんは全く気にしていなかった。女性からは「見た目がカワイイ」という意見が多い。ポイントはココなんです。私がTWを販売した理由についてはお話ししましたが、エンフィールドも同じ感覚で売れる、そう直感したんです」
SPEEDではユーザーに対しセースルトークを使い分けている。マニアックなユーザーとそうでないユーザーそれぞれへの対応についてだ。前者は「OHVの2バルブが・・・」などといったメカの話が好きな人に向けたもので、後者は「このカラーリングは新色だけど、なかなかいいでしょ」といった、バイクをファッションとして捉えている人だ。これについての原田社長の本音は、「マニアック過ぎるユーザーの来店は、あまり望んではいない」というものだった。
「たとえ良いバイクに乗っていたとしても、他で購入した人よりウチで買っていただいたお客様を最優先する、というのが私の方針です。そのため、あえて工賃で差別化を図り、外部の方は倍の金額に設定しています。ネット上で色々と書かれることもありますが、それが、限りある時間を有効に使いウチのお客様の満足度を高める手段なのです」
原田社長が望むユーザー像は「SPEEDを信頼し任せてくれるお客様」。この考え方を貫くことで、徐々に変化が表れつつあるという。
「ブランドによって、好むスタイルの傾向があります。例えばスニーカー。同じブランドの同じ商品を複数のお客さんが履いている。欲しいモノにはお金を惜しまないんです。そして、見た目だけでなくストーリーにこだわりを持つ。そういう方が集まるようになってきました」
1年ほど前、SPEEDはコンサルティング会社にある依頼をしていた。それは業務マニュアル作りだった。原田社長自身、一匹狼的なところがあり、人を引っ張っていくことは、あまり得意ではない。加えて物事をスムーズに進めるための仕組みづくりなども不得手だったのがその理由。目的は組織作りと意識改革。それをカタチにしたかったのだという。
もう一つの目的はスタッフの販売力の強化。原田社長はそこをウィークポイントとして感じていたからだ。実際の進め方としては、原田社長の頭の中にある思いや感覚をすべて言葉に落とし込み、それを社員に伝承する、というものだ。昨年1年かけて制作しこの春、完成した。
「コンサルティング会社の指導のもと、社内で行うすべての作業を細分化しました。意外だったのは、その過程においてスタッフ全員が業務内容を再認識することで、新しい理解や納得が得られたこと。いまは完成しましたが、参加したスタッフ全員が、かなり勉強になった、と感想を語っていました。プロに依頼して良かった、そう思っています」
ここ数年、原田社長はある働きかけを受けるようになった。M&Aである。「御社に興味を持っている企業があります」というのが常套句。自分の会社もそんな対象になったんだ、と思いつつ興味本位に応対し、企業価値を試算してもらった。興味を持っている企業について聞くと、用品店や二輪・四輪併売ディーラーの名前が挙がったという。将来的な選択肢としては身内が継ぐ、従業員が継ぐ、廃業する、M&Aを受ける。この4択。原田社長は現在53歳。引退にはほど遠い年齢だが、考えておく必要はある。
「数字は言えませんが、試算された企業価値は、想像よりもかなり低かった。どのような選択をするにしても企業価値はできるだけ高めたいんです。コンサルにマニュアル作りを依頼したのも、実はこうしたことが関係していたのです」
企業価値を高められなければ、自分の成績表は良くならない、と言う原田社長。「顧客ファースト」の考えに基づき、多様なブランドを扱うことで、道を切り開いてきた。あまり考えつかないような、奇抜とも思えるアイデア、施策は未来のSPEEDへの投資である。それが明確なカタチとなって現れるのも、そう遠い将来ではないだろう。
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