公開日: 2025/06/24
更新日: 2025/06/24
自工会は5月22日、日本自動車会館で記者会見を開催した。片山正則会長はアメリカの通商政策に関する自工会としての対応や自動車税制改正について自工会の取り組みを説明。また、今年10月にフルスケールで開催されるジャパンモビリティショーについて抱負を語った。
退任した内田副会長の後任として、新たに日産自動車社長のイヴァン・エスピローサ氏が副会長に就任。今回が初参加となった。冒頭、同氏は次のように豊富を語った。
「私はこれまで20年以上にわたり、世界中の様々な市場で仕事し、多くの業界を目にしてきた。その経験から、日本の自動車産業の強みは、モノづくりに対する強い情熱と高い技術力、そして団結力だと感じている。現在、自動車産業は大きな変革期を迎えており、私たちは日々新たな課題に直面している。日本において自動車産業は経済面で非常に重要な役割を担っており、主要な指標となっている。日本の自動車産業発展のためにも、これまでの経験・知識・スキルを活用していきたい」
続いて片山会長より現在における自工会の活動内容について説明が行われた。開口一番、「世界経済の不確実性がさらに高まっている」とし、そうした状況下、理事会では「米国通商対応」「自動車税制改正」「Japan Mobility Show」といった議題について議論を行ったことを明かした。
まず通商問題について。米国政府は4月3日に自動車、5月3日には自動車部品に対して25%の追加関税を課す措置を発動したが、日米両国のみならず世界経済へ影響を及ぼし始めているのは周知の通り。
自工会では日本の自動車メーカーによる米国経済への貢献に関する最新データを公表したが、現地生産を開始した1982年から2024年末までの累積投資額は664億ドル、生産台数は1億台という節目を迎えた。日本の自動車メーカーによる2024年の現地生産台数は328万台。米国内において11万人の直接雇用を生み出し、経済波及効果も含めると220万人以上の雇用を支えていることを説明。さらに米国のユーザーに安心して乗ってもらえる高い環境性能・安全性能を備えた商品を提供することで、米国の社会、経済に貢献している、とした。
すでに英国が米国との貿易協定に合意しているが、日本においても早期の合意に向けた粘り強い交渉とともに、今後とも両国の自動車産業の発展に資するビジネス環境が維持されるよう、生産的な対話が継続されることに期待を表明した。
今年の10月に開催されるジャパンモビリティショーは、今回はビジネスイベントではなく一昨年同様、多彩な分野の事業会社やスタートアップ企業とともに、モビリティの未来をご提案するフルスケールのショーとなる。詳細については、6月下旬に報道関係者に説明する機会を設ける、としている。
Q. 関税措置発動後、サプライチェーンも含め具体的にはどのような影響が出始めているのか。
A. 90日の猶予もあるが、今回の関税については、数字的にどう読むか、など各社とも極めて難しい判断をしていると思う。現時点での影響についても同様だと考える。質問の主旨は分かるが、個社においては様々なマーケティング対応がある。このタイミングでは回答が難しいことはご理解いただきたい。
Q. 新基準原付に関する誤解がある。125ccバイクを原付免許で運転できるというところがクローズアップされており、なぜ導入されたのかという理解が進んでないように思う。無免許運転が発生する可能性がある。自工会における情報発信や無免許運転防止に関する取組について教えてほしい。
A. 新しい情報発信の必要性を強く認識している。自工会二輪車委員会では、新基準原付について、オウンドメディアであるMOTO INFOを通じて潜在二輪ユーザーや既存二輪ユーザー、社会全体に対し、それぞれのターゲットに向けた情報発信を行っている。概ね月平均10万ページビューを得ている。ただ、まだ十分とは認識していない。誤解を生じさせないためにも、二輪車委員会では他に総務省、警察庁、国土交通省と連携し政府広報を通じた新しい情報発信に加え、運転免許試験場や自動車教習所、二輪販売店への啓発ポスターの掲示、デジタルサイネージを活用した様々な場所での啓発活動を行っていく。メディアの協力もお願いしたい。
Q. ジャパンモビリティショーについて。往年の四、二輪のファンからすると、未来の話だけではなく、現在のもっとリアルな部分でのワクワク感などはないのか、という声も多い。これに関する見解は。
A. モビリティそのものの魅力。今回はそれを目玉としている。内容としては、過去の象徴的なクルマやバイク、その当時の文化や世相などと共に展示することで、モビリティが社会や文化に与えた影響、発展への貢献、そして人々の生活をいかに豊かにしてきたかを伝えられるような展示を予定している。
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