公開日: 2025/12/23
更新日: 2025/12/31
公明党オートバイ議員懇話会は昨年11月24日、衆議院議員会館で政策要望事項等に関するヒアリング・意見交換を行った。同懇話会は2025年においては2度目の開催。二輪車高速道路料金の見直しや2026年度二輪車定率割引、2026年ツーリングプランの実施、ETC二輪車車載器購入に対する助成金の支給等を要望として掲げ、審議を行った。
当日、公明党からは石川博崇会長をはじめとする14名の議員・関係者が出席した。自工会からは飛田淳司氏(ホンダ・経営企画統括部渉外部担当部長)、池永謙治氏(ヤマハ渉外部渉外担当部長)らが出席。AJからは大村直幸会長、岡田隆幸副会長、池渕香次副会長、宜野座朝洋副会長が、オートバイ政治連盟からは吉田純一会長が出席。また、関係省庁からは国土交通省、警察庁、総務省、経済産業省から担当者が出席し、自工会、AJからの要望に対する回答・説明を行った。
会に先立ちオートバイ議員懇話会の石川会長が挨拶。「新たに出発した公明党だが、地方議員と国会議員が連携し国家国民のため小さな声、現場の声を国政に届け政策を実現するという姿勢は微塵も変わらない。いま、国会は多党化の時代。良識ある責任政党が合意形成を図り政策を実現する。我々が二輪業界のために働いていく」と語った。
続いてAJの大村会長が挨拶に立った。
「沖縄の二輪の通行帯が全面解禁となった。わずか5~6年でルールが変わるのは、稀に見る凄いことだ。そして今、まさに高速道路における二輪車の料金体系問題が動いている。これは吉田前会長の時代から30年ほど継続審議しているが、なかなか動かない。でも、審議会も入った。いまが料金の適正化を実現するタイミングだ」
続いて自工会の飛田氏より
①「自工会が実施した二輪車・高速料金Web 調査結果」
②「二輪車・高速料金 定率割引の改善政策」などについて要望説明が行われた。
①は高速料金の利用調査として定率割引、ツーリングプランを利用したユーザーに対し行ったアンケートの調査結果について。総数は1236名で4分の3が男性。この内容を受け、軽自動車と同一料金だと正しく理解しているユーザーは53.6%だが、残りの46.4%は理解しておらず、また、高速料金が高いと回答したユーザーのうち、79.1%が普通車の半額以下が妥当と回答していることを明らかにした。
次に②。これは割引プラン利用促進に関するアンケート。定率割引の利用理由については、「割引率が高い」「ETCが活用できる」などが上位。「長距離を走行するのが得」についても評価されている。一方、定率割引未利用の理由については、土日祝日限定で平日に利用できないのが最も多い。加えて1回の走行で80km以上走らなければならないが、これを確認するのが面倒だという回答もある。また、利用にあたっては事前申込が必要なので面倒、という意見も多かった。これらの結果を踏まえ、以下の2点を要望として挙げた。
【要望事項①】対象を土日祝日のみではなく平日も加えての実証実権を
【要望事項②】走行距離制約(一走行あたり80km以上)の撤廃
次に全国オートバイ協同組合連合会の石井大専務理事よりAJ単独要望として、
①「2026年度のETC車載器購入に対する助成金の支給」
②「二輪車の駐車場の確保と現実的な取り締りの実施」
③「商品中古二輪車の軽自動車税免税」に関する要望説明が行われた。
まず①。2025年もETCの購入助成を実施いただいたことでETC車載器の売り上げ、装着に寄与しているものと考えている。二輪は四輪と異なり雨や埃、それと振動対策もあり車載器の単価が高いため、ユーザーにとっては多く走らないと費用対効果が実感できない。また、ETC専用入口やスマートインターチェンジなどにおいては、ETC車載器は不可欠なもの。継続をお願いしたい、とした。
②では、AJの調査では東京都における二輪車の保有台数あたりの駐輪場は四輪との比較で7分の2であることを説明。これを根拠にモビリティの種類を問わず、利用者が駐車・駐輪できる環境が必要であるとしたうえで、絶対数の少なさが購入・利用の障壁となっていると指摘した。これについて、「一定の規模以上の建物に対する二輪車駐輪場の附置義務条例の制定」「路外に駐輪場所を確保できない地区における、『二輪車を除く』駐車規制の対象路線の導入」を要望した。
続いて③は商品軽自動車税の免税について。二輪販売店に展示している車両は商品として展示しているもの。これに対し軽自動車税が課される地域とそうでない地域が存在する。政令指定都市ではさいたま市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市、北九州市で免税となっている。この全国拡大を要望事項として申し込れた。
これらの要望に対する回答として一部を紹介する。まず国土交通省道路局から高速道路料金の車種区分について説明が行われた。
令和3年の審議会の中間答申において、審議開始から30年以上が経過していることを踏まえ、車種区分のあり方を見直す必要があるという答申がなされた。それを受けて昨年、令和6年1月に車種区分の議論を開始し1年後の令和7年1月、算定方法や算定データについて議論を行った。その後、現在は審議会で関係する団体関係者にヒアリングを実施。先頃、審議会が開催され、全国オートバイ協同組合連合会の石井専務理事にも来ていただき意見を伺った。今後も、関連する団体の皆様のご意見を丁寧に伺っていく、との説明がなされた。
国土交通省都市局からは、次のような経緯の説明があった。二輪駐車場の台数が少ないのは指摘の通りだが、平成18年当時と比較し台数ベースで9倍程度に伸長した。一定規模以上の建物を建てる場合、地方公共団体が制定する条例に基づき駐車場を確保するよう義務付ける附置義務条例があり、その対象が附置義務駐車場だが、多くは四輪だけが附置義務駐車場となっている。こうした現状に対し、自動車の附置義務駐車場に余剰が発生したら二輪へ転換するよう標準条例の中に組み込む取り組みを行っている。AJの話にもあったが、かなり地域偏在が発生している。大都市を中心に、駐車場が不足しているという状況については理解している。二輪車の駐車スペースに関わる国土交通省、経済産業省、警察庁などのメンバーで関係省庁の連絡会議を発足した。5月に第一回目を開催し、そのあと二輪の関係団体、駐車場の関係団体、さらには地方公共団体の関係団体、地方公共団体からヒアリングを行うという段取りだ。とりわけ地域偏在というところが一番大きい。まだ二輪駐車場を附置義務条例に位置付けていない自治体も多い。この枠組みを使いながら話し合いを進めていく。
二輪の高速道路料金については一歩、前進した感はある。沖縄の通行帯問題が5年ほどで全面解禁となった事実もあることから、二輪駐車場や軽自動車税などの問題解決にも期待がかかる。
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