公開日: 2026/05/05
更新日: 2026/05/12
20~50代くらいまでの成人男性が荷物を運ぶ際、明らかに「重い」と感じる重量は、大体20~30kgほどだと言われている。数回程度なら問題はないだろうが、これを仕事として日常的に行うとなると、脚腰への負担はかなり大きくなる。筋力・体力面で男性に劣る女性や高齢者にとっては、なおさらである。
そんな中、身体的な負担に悩む様々な現場で近年、導入が進んでいるものがある。それが「アシストスーツ」だ。
アシストスーツとは、力仕事や中腰姿勢などによって身体に掛かる負担を軽減し、作業効率を向上させるサポートギアのことを指す。着用することで、持ち上げ時の腰や腕への負荷軽減や、作業時間の短縮が可能だ。また、高齢者や女性が使用することで、筋力や体力を必要する業務の負担を削減することができる。
種類は大きく分けて「アクティブ型」「パッシブ型」「サポート型」の3つに分類できる。まずアクティブ型は、モーターを動力源とし、機械によって姿勢や動作をアシストする点が特長だ。次にパッシブ型は、モーターを持たず、人工筋肉や支柱構造体によって動作を支える仕組みとなっている。最後にサポート型は、同様にモーターを使用せず、腰や膝といった体の一部をサポートするタイプである。
アシストスーツは近年、製造や物流業界で活用されつつあるが、それ以外の分野でも導入が進む。例えば農業分野では、農林水産省が2020年に、最新技術によるスマートな農業の普及を目指す「スマート農業推進フォーラム」でアシストスーツを紹介。一部の農家では、農作業や倉庫作業の現場で実際に使用され始めている。
また、介護分野では慢性的な人手不足が深刻な問題であり、その大きな原因の1つとして身体的負担による腰痛が挙げられる。この問題の解決策として、アシストスーツが注目されており、導入した施設の中には「腰痛による欠勤が0になった」という事例もあるという。
導入の動きは二輪業界や関連団体でも見られている。2024年7月に開催された鈴鹿8耐では、出場チームの一つ「TEAM SUGAI RACING JAPAN」がパッシブ型のアシストスーツを活用。中腰姿勢での作業やガソリンチャージなどによって、身体を酷使するメカニックの負担を軽減した。
さらにヤマハでは、従業員の身体的負担の軽減と業務効率の改善を目指し、2025年に計8着のサポート型アシストスーツを導入。実際に、補修部品の管理や出荷業務における現場にて、従業員の負担軽減という効果が見られている。
このように、様々な現場で活躍するアシストスーツは、今後さらに多くの企業や団体で導入されていくだろう。身体的負担の改善を目指す数々の業界を、どれだけ後押しできるかどうかが気になるところだ。日常生活の中でアシストスーツを着用して働く姿が当たり前となる日も、そう遠くないかもしれない。
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