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3分でわかる中古車ビジネスの“ツボ”「来店客の目を 惹くバイクの 見せ方とは?」

公開日: 2022/09/12

更新日: 2022/09/12

中身だけじゃなく『見た目も大事』。全在庫車両にポリッシングを施す

例えば、今、目の前に2台のバイクがあるとする。車種・年式は一緒、走行距離もほとんど同じ。片方はキレイに磨かれていて、もう一方は少し汚れている。価格がそれほど変わらないなら、どちらを選ぶか。もちろん、バイクのプロである販売店のスタッフならエンジンの調子、可動各部の動き、消耗品の状態などなど外装がキレイかどうか以外も細かくチェックすることと思う。

では来店客はどうだろうか。例として挙げた、少し汚れているバイクだが、購入後に納車までに磨くと言われたとしても、もう1台のキレイなバイクと同等のキレイさになるかどうかの確約はない。また、メカニカルな部分でスタッフと同等の知識や経験を持っているユーザーは、そうそういないだろう。そう考えると、やはりキレイなバイクのほうが選ばれやすいのではないだろうか。

ここ数年、女性の来店客が増えているという声を、複数の販売店から聞く。これもある店から聞いた話だが、「女性のお客さんは店やスタッフの清潔感を意外とチェックしている」という。つまり、バイクも店もスタッフも中身が大事なのはもちろんなのだが、『見た目も大事』なのだ。そして、その『見た目も大事』を実践している店がある。

ある店では、原付一種から大排気量モデルまで全ての車両にポリッシングを施すという
ある店では、原付一種から大排気量モデルまで全ての車両にポリッシングを施すという

「ウチでは、原付一種から大排気量モデルまで全ての車両をポリッシングしています」

話を伺った時、たまたま仕入れたばかりのVTRがあったので、その作業をザッとだが見せてもらった。研磨剤をつけたポリッシャーで細かいスリキズ等を落とし、その後、UVレジンのコーティングで仕上げている。Before・Afterの写真を見れば分かるかと思うが、まるで別物。「このVTRは部品取用として仕入れたので、仕上げる予定はなかったから、ちょっと手を抜いちゃいましたけど、実際はもっと丁寧にやります」

そう言って、ジクサーのアッパーカウルやスクーターのフロントカバーなどの作業も見せてもらった。1台あたりにかかる時間は30分ほど(コーティングの硬化には1日かかる)とのことだが、10台磨くのに5時間かかる計算になる。思っていた以上に大変な作業だが、これを原付スクーターでも同じようにやっているのだ。

「磨くのは、単にキレイな車両にするため、というだけではないんです。原付一種や二種のスクーターだと、全車両のボディにコーティングまでして並べているところは、そう多くはない。逆に言えば、車種によってはキレイなタマが少ないということです。それが他店との差別化につながっています。『キレイで程度の良いアドレスVを探していた』というお客さんが来店され成約になった時には、手間をかけて本当に良かったな、と思います」

前職の経験からライティングにもこだわり、バイクをよりキレイに見せる

「暖色系がバイクには合う」ということで暖色系をチョイス。スポットライトの角度にもこだわる
「暖色系がバイクには合う」ということで暖色系をチョイス。スポットライトの角度にもこだわる

キレイに見せるポイントは、ポリッシングやコーティング加工のほかにもある。『照明』だ。このお店には、角度が自由に変えられるスポットライトがいくつも付いている。

「実はバイクショップで働く前、鮮魚関係の仕事をしていたのですが、ライティングによってシズル感が全然違うんです。バイクも同じだと思いましたので社長に提案し、店内にスポットライト用のレールを設置してもらいました」

ライトの色も、寒色系、暖色系などいろいろ試し、「暖色系がバイクには合う」ということで暖色系をチョイス。スポットライトの角度にもこだわる。

「スポットライトの当たり方ひとつで見栄えが変わるので、私とスタッフの2人で角度調整をしては確認、調整しては確認というふうにやってます」

一度角度が決まれば、車両を入れ替える程度では調整しなくても済むという。ただ、車両の配置を大きく変えた場合には、ライトの調整も行う。これらのほかにも、店内の整理整頓について、気を付けていることがあるという。それは段ボール。販売店の店内に置いてあるのは、ごく普通の光景だが、これがあるだけで店の中が乱雑に見えてしまうのだという。なるほど、言われてみると納得できるフシがある。

今回のテーマは『バイクの見せ方』だが、車両本体をどうこうするというだけではなく、ライティングや店内の清潔感など、環境の整備も重要な要素なのだ。

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