公開日: 2025/06/12
更新日: 2025/06/17
トライアンフ茅ヶ崎店さんご協力の元、「Thruxton Final Edition」オーナーの小林ゆきさんがトライアンフ「SPEED TWIN 900」を試乗インプレ! さらにトライアンフ茅ヶ崎オリジナルローシート、SPEED TWIN 1200RSも比較。ぜひ、バイク選びの参考にどうぞ!
〇SPEED TWIN 900:シート高=780mm/車両重量=216kg
私のスペックは身長160cm、体重は50kg前後の手足短めです。大体155~7cmぐらいの方に参考になるかと思います! 車体の横に立ってみると、流石に股下よりはシート高が高いんですけれども、上から見るとシートの座面はタンデムに向かってフラットになっていて前がすぼまっている感じですね。ハンドルはバーハンドルで若干幅広めのネイキッドスタイルになっております。
それではまたがります! フラットなシートなのでまたがりやすいです。いきなり真ん中に座りましたが、足もしっかりステップを踏めている状態です。ではバイクを直立させると・・・・・。足の力で起こそうと思うとなかなか重量感がございます。ですが重心位置が下の方にどっしりしているので腕の力を使う程ではありません。直立させましたが真ん中に座っている状況で足の親指の付け根がしっかりついています。足を踏み変えますが、素直に右足を下ろすとぎりぎり着くか着かないか。踏み変えの時にステップは邪魔にならないですね。そしてサイドスタンドの出し入れは、ツノがあるのですごく出し入れしやすいです。流石イギリスの伝統メーカーですね。
〇SPEED TWIN 900ローシート:シート高=720mm
今回トライアンフ茅ヶ崎オリジナルローシートもご用意していただいたので、こちらも足つきインプレをしていきたいと思います! トライアンフの純正のものもあるんですが、トライアンフ茅ヶ崎さんは購入者限定でオリジナルのローダウン加工したものを販売しています。サイドも細くしてあるということなので、より足つきも良くなりますし、角が無いことで足の踏み変えにも効いてくると思います。
ということで標準より20mm下がっているローダウンシートの足つきチェックをしていきます。早速またがってみますが・・・・全然違う! タンクからシートに掛けてのラインが一体化しているのが、またがった瞬間に分わかります。私の場合ハンドルに対するポジションがより自然な感じに思えるのはなぜでしょうかね。シートの位置が下がるとハンドルは相対して高くなるはずなんですけれども(笑)。
ではバイクを直立させます。さっきよりも足の力を使えるようになりました。もちろん重量を感じますが、ローダウンの方がより起こしやすくなりました。足を踏み変えますが、両足が付くんですね! 母指球までは届きませんが両足が余裕で付きます。なので、踏み変えと言っても私の短足でも足を自然に下ろせばいい。お尻をいちいちずらさなくていいし、ずらしても引っかかりが一切ないです。サイドスタンドももちろん楽々でございます。ということでローダウンシート、だいぶ足つきに効いてますね!
〇SPEED TWIN 1200RS:シート高=810mm/車両重量=216kg
ノーマル1200のシート高は805mmとなので、RSは少しだけ高くなっています。先程の900に比べると、足回りのスペックが圧倒的に違います。こちらは前後17インチ、先程の900は18/17インチ。ハンドルマウントのミラーになっていて、シートの形は似ていますが革の質感が全然違います。900は若干滑りの良さそうな生地を使っていましたが、こちらはスエード調の生地で若干滑りにくくなっています。
それではまたがってみると、1200は圧倒的にシートが高いですね。ステップの位置も少し後ろあって、だいぶスポーティーな位置に変わっております。真ん中にしっかり座り込むと私の足では、つま先ツンツンです。足の踏み替えはこのままだと出来ないので左側にオフセットさせて腕の力を使って起こします。数センチの差ですが、だいぶ違いを感じています。直立させた状態で、もちろん私は真ん中に座れないです。左側に体をオフセットさせててもつま先つんつんで、右足は太ももが乗っかってるだけでステップにすら足が届きません。
サイドスタンドを払わないといけないので踏み変えますが、もちろん両足は付きませんのでシートの上で左右にお尻を動かして変えるわけなんですけれども、やはりスエード調の生地が滑りを阻害します。ですがバランスをしっかり取れればなんてことはないんじゃないかな。大型二輪の免許を取った方は乗れると思います。サイドスタンドは位置としては900と変わらないですね。しっかりツノが出ているので出し入れも軽いし、バネの感覚が気持ちいいですね。
足つき比較してみましたけれども、1200はおそらく足回りのサイズの違いでシートが高くなっているかなと思います。その分エンジンの重心位置も1、2センチとか上にあるので、体感には若干重さは感じますが、まあそこまでではないですね。私ぐらいの身長の方でも、しっかりバランスさえ取れれば乗りこなせると思います。
〇SPEED TWIN 900
早速試乗していますが、トルク感と軽やかさが入り交じって実に気持ちいいですね! ライディングポジションは、丁度いい椅子に腰掛けているような楽ちんなポジションです。
私はいつも体格的にシートの前めに座っていまが、座面がだいぶ後ろまであってシートクッションも真ん中へ座ると楽ちんになっていきます。足元のステップは膝の下にあるんじゃないかぐらい緩やかな位置にあります。ステップの高さはヨーロッパの大柄な方に合わせて作られているモデルが多い中で、意外とステップは低すぎない位置にあります。お尻の位置とステップの位置が遠すぎないということは、峠やスポーツしたい時にステップの踏み込みを支えてくれます。
先ほどから時速20、30kgでゆるゆると走っておりますが、ずっと2速固定。2速3速が結構ワイドで、2000回転とか3000回転ぐらいの開けた時の加速感が本当にリニアで使いやすく感じます。ではスピードを上げていきます。4速に入りましたが高速はどうか。なるほど、5速で2000回転そこそこなんですが非常にドコドコ感を感じます。高速道路を走れればまた印象が変わると思うんですけれども2000回転そこそこでこんなに右手のハンドルの開け閉めにリニアに反応するということは、高速でも結構気持ちいいと思います。そしてハンドリングは癖がないですね。昔ながらのバイクこそ意外と素直なハンドリングのバイクが多いんですよね。本当に滑らかに走ってくれます。
そしてトライアンフはここ最近低速の粘りがすごいということで、一般道でそれを実行してみようかなと思います。わざと2速で進んでいますけれども、特に極低回転の粘りが使いやすいですね。オートバイの初心者さんこそ、こういう感覚がバイクの乗り始めにいいんじゃないでしょうか。オートバイに憧れて一気に大型二輪まで免許を取り、いきなり大きいバイクに乗る初心者さんというのが急増している感じがするんですけれども、オートバイって経験の蓄積の乗り物だと思うんですよね。色々な講習会でせっかく大きなバイク、高いバイク買っても乗りこなせない人をよく見かけますけれども、そんな方にこそ900に乗って欲しい。結局のところのオートバイの発進・停止時の低速で転ぶかもしれないという不安があると思うんですが、そのバランス感覚を養うには余計な不安がないバイクを乗るべきだと私は思います。このバイクはトルクがあるからクラッチだけで発信できちゃう、クラッチだけで発進しても全くエンストする気配がないです。
〇SPEED TWIN 1200RS
発進からして全然違います。エンジン特性とか音が違っていて、900はトルクで発信するけど、その後の加速が一瞬なのでふわって空を飛ぶ感じ。1200はずーっとトルクで引っ張る感じ。わざとギアを高めにして回転数を下げてとか1足2足で引っ張ってみたり意地悪な乗り方をしてみましたが、こちらはパワーとトルクで走るバイクですね。その分小さな交差点を曲がる時や細かい峠道のような所ではやはり慣れていない方はちょっと気をつけた方がいいかもしれないです。
ただポジション的にはスタンダードなネイキッドスタイルでハンドルがそんなに連携していません。ステップもスポーティーな位置にはありますが、むしろ峠道でヒラヒラ走りたい時なんかは、このステップ位置が効いてくるのかなと思いました。
今回はトライアンフ茅ヶ崎さんの車両をお借りして、スピードツインの900、1200RSに乗ってまいりました! 楽しくてつい横道に逸れたりしましたが900と1200で全くエンジンの性格が違いますし5速ミッションの設定が絶妙ですね。900は余計なギアチェンジが全然要らないので、その辺ストレスがないかなと思います。トライアンフのツインですから、トルク感を楽しむようなエンジンなんですけれども、そのトルクの先にふわっと軽やかな加速感があり、最初試乗して感動しました。
いろいろ加味すると、大型二輪これからデビューするっていう方はまずこういったバイクを乗り倒すのが楽しいと思います。最初に憧れるバイクが色々あると思いますが扱いきれないで折れちゃうっていう話もよく聞きますので、このくらいのバイクが丁度いいかもしれません。しかもトライアンフは非常に所有感のある高級感漂うバイクかつ、スピードにも電子制御が乗っかってますから安全装備という面でも安心だと思います。
そして1200RSはエンジンパワーがあるので、ちょっとした発進や交差点の曲がり角を扱いきれる方はそのパワー感も楽しみつつといったところですね。ただ2気筒のトルクパワーはすごいものがありますので、ビックバイク初心者の方は注意して走れるといいんじゃないかなと思います。そしてハンドリングは、前後17インチ、タイヤはロードレースというものが付いており、そこでもキャラクターが違うかなと思いました。さすがに今回は下道を走っただけなので試すことは出来ませんでしたが、このバイクは曲がり角で少しリヤ側のスポーツをさせたくなる片鱗を感じました。
皆さん悩むと思いますが、それぞれ違いがあって非常に楽しいしバイクでした! 900は教習車にしてもいいくらい非常にスタンダードな味わいで、それでいて必要以上のトルクはありますので、大型二輪初心者の方に本当にオススメです。ということでトライアンフ茅ヶ崎さんの試乗車をお借りして、トライアンフSPEED TWIN 900と1200RSの比較インプレをしてみました。また次回お会いしましょう!
●撮影協力:撮影協力:トライアンフ茅ヶ崎様
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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SPEED TWIN 900は大型二輪初心者の方に本当にオススメ!
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