公開日: 2026/08/27
更新日: 2026/08/27
今年上半期(1〜6月)の新車国内出荷台数が14万1005台であることが日本自動車工業会の調べにより分かった。これは前年同期比で21%ものマイナス。大きな要因となったのは原付一種と軽二輪の大幅減。特に原付一種は前年同期の半分以下となった。
6万1483台から2万9472台。実に、3万2011台、52.1%ものマイナス。これは、日本自動車工業会(自工会)が発表している今年上半期における原付一種の新車国内出荷台数(以下、出荷台数)。まさに、半減だ。
これは察しの通り昨年、新基準原付が新区分として設定されたことによる影響である。50cc原付の生産は終了したが、新基準原付のモデル数がまだ少なく需要も50cc原付時代には及ばないことが要因。ホンダはディオ110Lite、スーパーカブ110Lite、スーパーカブ110プロLite、クロスカブ110Liteの4車種を新基準原付としてラインアップ。ヤマハからもJOG ONEが発売されている。しかし、まだそれだけだ(スズキは今現在、新基準原付モデルを発売していない)。スクーター2モデルとカブ系統しかないのだから、これでは選択が難しいというユーザーもいるだろう。
新基準原付以前はどうだったかというと、ホンダのスクーターだけでもジョルノ、タクト、Dunkがあった(ビジネス系も含めるともっと多い)。ヤマハにもジョグ、ジョグデラックス、ビーノがラインアップされていた他、スズキからもレッツ、レッツバスケット、アドレスV50が販売されていた。その状況から考えると、今の新基準原付ラインアップに物足りなさを感じたとしても不思議ではない。
それにしても、出荷台数が3万台弱というのは危機感のある数字だ。自工会が公開している出荷台数のデータは1993年まで遡ることができるが、各年同期を見てもここまで低い年はない。最も身近な排気量クラスが、過去最低の数字となっているのだ。
ラインアップの充実とユーザーに向けた新基準原付の魅力の訴求。この2つが原一の今後の大きな課題と言えるだろう。
半減した原一ほどではないが、前年同期比32.2%もの大きなマイナスを記録したのが軽二輪クラス。過去3年間からの状況を見ると、2023年上半期は3万1395台、2024年は2万1310台、2025年は3万4571台、そして2026年は2万3430台。この変化を分析すると、2023年はそれまでに溜まったバックオーダーが生産・出荷された年。実態以上の台数が市場に放出された。翌2024年はバックオーダーの生産が落ち着き実需に戻った年と言える。
2025年になると、規制適合モデルやZX-R25、CRF250などの生産・供給が動き出したことで再び増加に転じたが、今年2026年は、前年の需要が落ち着いたことから市場は再び一変した、という図式だ。今年の状況は、市場の停滞を意味するものではなく、揺り戻しと見るのが妥当。つまり、現在における成熟市場を考えれば、現状が適正であるとも考えられるだろう。
原一が最もバイクに接しやすいクラスだとすると、軽二輪は、より一層バイクライフを楽しめるクラス。しかし最近、その役割は原付二種(以下、原二)に移行しつつある。これについては後述するが、軽二輪からは高速道路に乗ることができるので、行動半径は一気に拡大する。自分の世界を広げるアイテムとしてバイクを楽しむなら、このクラスがひとつのスタート地点と言える。ここを足がかりにして、より大きな排気量にステップアップしたというのは、よく聞く話でもある。
だが、最近は今までと違う傾向の話も耳にするようになってきている。それにはライダーの年齢が関係している。以下は60代ライダーの話。
「GPZ900Rに乗っていましたが、立ちゴケしてしまいました。以前だったら体で支えて倒さずに起こせたけど、それができなくなった。近くを通った若い人に助けてもらい、やっと起こしました。その時に『あ〜、もう重いバイクはキツいんだな、無理なんだな』と実感。CL250に乗り換えました。今は軽くなって快適です」
また、ある50代のライダーからは、「スピードに目がついていかなくなってきたんです。なので、400ccから150~250ccクラスに乗り換えようと思っている」という話を聞いたこともある。
自工会では2年に一度、二輪車市場調査を公開しているが最新版を見ると、二輪車購入者の平均年齢はアラカン(アラウンド還暦=60歳前後)世代の56.5歳。ちょうど、話を聞いた2人のライダーあたりの年齢だ。2人の話から見えてくるのは、軽二輪は前大型ユーザーの受け皿でもある、ということ。モーターサイクルショーで話題となった注目ブランドの多くは軽二輪クラスのバイクをリリースするなど250ccは面白いクラスになってきている。もし、大排気量に乗る50代以上のライダーが体力の衰えなどを口にしたら、すでにやっているショップも多いことと思うが、軽二輪への乗り換えについて、実例とともに提案してみるのがいいだろう。最近は150〜200ccあたりのモデルも充実しており、いろいろな角度からのアプローチができるはず。例えば、ヤマハのXSR155はXSR125と共通のメインフレームなので取り回しのラクさは原付二種。それでいて高速道路も走行可能と、それぞれのいいとこどりだ。
今年上半期は3割以上のマイナスとなった軽二輪クラスだが、前述のように決して需要の大幅な減退を意味するものではない。前述のユーザーの話にもあったが、需要の手応えが失われたわけではないのだ。
原一、軽二輪とは違い、前年同期比でプラスとなったのは原二と小型二輪。
原二は2023年から3年連続してボリュームゾーンとなっているが、その勢いは今年も継続している。上半期だけでも他のクラスを3万台前後引き離している。原一が低迷していることもあり、出荷台数はすでに原一のほぼダブルスコアだ。
ここ数年で原二が大きく変化したことは、以前のような通勤・通学の足という印象が薄れてきたことも大きい。スクーターはもちろん、ハンターカブやモンキーなどのレジャー系、フルサイズのオンロードバイクの他、今年1月30日にはヤマハから本格的なオフロードバイクWR125Rも登場。車種がいろいろ選べて、どんな楽しみ方にも応えられるクラスとなっている。
下半期に、新基準原付が爆発的な人気となるなどの変化が起きない限り、今年も原二がボリュームゾーンとなることは間違いないだろう。
小型二輪も前年同期比4.9%のプラス。台数は原一を上回る2万9844台。原一以上の台数を記録するのは、1993年からのデータでは初。ただ、これは原一の低迷によるもので小型二輪が飛躍的に伸びた結果ではないのが残念である。
このクラスは、輸入車も含め、スポーツツアラーやアドベンチャーモデルが好調。モーターサイクルショーなどでも、ヤマハのトレーサーGT+Y-AMTやホンダのXL750トランザルプへの注目度は高かった。その他、XSR900GP、先日、8月21日発売がアナウンスされた400ccクラスのCB400SFの人気も高く、ひとつのカテゴリーだけではなく幅広い分野のモデルが来場者の視線を集めていた。
表2は、新車と中古車の販売台数。軽二輪新車はマイナスだが中古車はプラスなので、軽二輪人気が急速に低下しているわけではないことがうかがえる。
表3は、輸入車の新規登録台数。トライアンフがBMWを上回り2位となっている。ただ、その差は大きくなく、1位から3位まで、いつどのように順位が入れ替わってもおかしくない。特に、トライアンフは400ccクラスが充実しているので、それがどのようにユーザーから評価されるか、それがひとつのカギとなる。
さて、出荷台数を全体的に見ると、原一と軽二輪のマイナスによって、出荷台数は14万1005台にとどまった。まだ半年とはいえ、上半期で15万台を割るのは初めてのこと。年間を通した場合、単純に倍だとすると出荷台数が30万台を割ってしまうことになる。そうならないためにも、ユーザーニーズを敏感に察知して適切な提案ができるよう、二輪の情報に限らずあらゆる情報にアンテナを広げておくことが大切だ。
表4を見てほしい。これは、運転免許の現在数。普通二輪(小型限定含む)、大型二輪、原付の免許を取得している人は3つともカウントされているので、合計した人数が免許保有者数ではないが、ポテンシャルはこれだけあるのだ。普通二輪免許の現在数は1100万人強、原付免許は普通自動車免許を含まなくても1500万人弱、出荷台数で大きなマイナスとなった2クラスとも伸び代は存分にある。下半期次第では年間30万台のラインを維持できる可能性はまだまだ残されているので、その期待をもって今後の動きに注目したい。
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