公開日: 2025/05/14
更新日: 2025/05/21
2024年における新車国内出荷台数の確報(二輪車新聞調べ)が発表された。全体の台数は31万9888台で、前年比18.2%の減少となった。原付二種以上が軒並みマイナスとなる中、原付一種が前年比プラスを記録。2023年に10万台以下となったものの1年で10万台以上に戻した。
2023年、新車国内出荷台数のボリュームゾーンが原付一種から原付二種へと移った。2024年もそれが続くのかが、注目されるポイントのひとつであったが、結果から言うと、原二が2年連続で最も出荷台数の多いクラスとなった。ただ、安定のトップだったのかというと、そうではない。
2024年、原一の出荷台数は11万0125台(前年比17.9%増)。原二は11万2618台(同24.2%減)。原一が大きく伸ばし、原二が大きく減少した。2023年はその逆で原一が大きく減らし、原二が大きく伸ばした。2023年は5万5277台も原二の台数が多かったが、その差は2493台差に迫っている。
昨年、原一が伸びた理由のひとつに『新基準原付』の存在が挙げられる。今年から原一はこれまでの50ccから125ccになる(50ccは2025年10月に生産終了)ことは、ご存じの通り。警察庁の主催した『二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会』の検証で、新基準原付は50ccの原一とほぼ同等の性能と評価されているが、排気量が大きくなっても最高出力は4kW以下。本当にこれまでの軽快な走行ができるのかという、不安の声は今も少なからずある。今後は50ccの新車が買えなくなるので、「今のうちに」という、いわゆる『駆け込み需要』が出荷台数を押し上げた一因であろう。
原二が減少したのは、需要の一巡といったところだろうか。原二は2018年から毎年10万台以上の出荷台数と安定した需要を誇っているが、2023年は14万6846台と2022年の1.5倍近くも伸びた。バイクは毎年乗り換えるものではないので、2023年の反動が来たとも考えられる。それでも11万台はキープしているので、安定感の高いクラスだと言えよう。
ただ、これも新基準原付がユーザーにどう評価されるかによって、今後に影響が出てくるものと思われる。例えば、新基準原付で十分ということならば、「わざわざ原二に乗らなくても」という人は出てくるだろう。逆に、新基準原付はいまいちという評価なら、30km/hの制限速度や二段階右折がなく、二人乗りもできる原二への注目度が高まることも考えられる。原二に乗るには免許が必要になるが、今は最短2日で取れるので、免許へのハードルもそう高くはない。いずれにしても、今後の原一・原二の動向は、これから登場してくる新基準原付がカギを握っている。
軽二輪クラスと小型二輪クラスは、共に大きく台数を減らした。軽二輪は4万3528台(同35.2%減)、小型二輪は5万3617台(同21.1%減)。軽二輪は3割以上の大幅減で、ここ10年では下から2番目の台数。2020年から6万台以上となっていたが、一気に2万台も落としている。
コロナ禍で『コロナバブル』と言われて人気の高まったバイクだが、ブームは定番にならなければ必ず終わる。だが、前述したように、バイクは毎年乗り換えるようなモノではない。「バイクに乗ってみたい」という人の手にバイクが行き渡った結果、軽二輪と小型二輪の出荷台数が減ったと考えることもできる。
問題はここからだ。継続的に乗ってもらえれば乗り換え・買い替えの需要が見込める。軽二輪と小型二輪は趣味として乗る人が多くを占め、生活に不可欠というモノでもない。飽きられたら、見向きもされなくなる可能性があるだけに、ユーザーのモチベーションをいかに高く保たせることができるかが重要。
2024年の出荷台数は全体で31万9888台(同15.2%減)。マイナス幅は決して小さくはない。このまま出荷台数が落ちていくのか、それとも回復するのかは分からない。だが、『原一・原二は新基準原付に対するユーザー評価がどうなるのか』『軽二輪・小型二輪は継続して乗ってもらうために、どのような提案をユーザーにできるのか』。今年の動向は、この2点が大きなポイントになるのは間違いないだろう。
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