公開日: 2025/09/04
更新日: 2025/09/12
カフェレーサーが英国発祥の文化であることは、誰もが知るところである。カフェに集まったライダー達が、街道レースに興じる。その場に集う改造車とライダーを、カフェレーサーと呼んだ。
アルコールを摂取できない彼らにとって、カフェは憩いの場であり情報交換の場でもあった。英国をはじめとする欧州では、ライダーが集まるカフェが市街地に点在する。そんな環境は、現在でも変わらない。その代表格である「エースカフェ」はロンドンにある。つまりカフェレーサーは都会派ライダーという訳だ。
前置きが長くなってしまったが、バイク乗り、ライダーと呼ばれる人たちは「止まり木」になり得る場所を欲している、と思われる。だが、我が国には圧倒的に駐車場が不足しているという現状がある。「止まり木」に、あるいはその近隣に駐車場がなければバイクは止められない。かといって路肩に止めてカフェでコーヒーを飲むわけにもいかず……。そうこうしているうちに、便利な自動販売機が目に入り……。
そんなライダーの気持ちに応えるように2006年以降、いくつかのライダースカフェが東京やその近郊にオープンした。ユナイテッドカフェ(世田谷)は2012年にオープン、近郊はもとより遠くからもライダーが訪れる人気店である。今回紹介する「宮ケ瀬ヴィレッジ」はこのユナイテッドカフェ宮ケ瀬店を中心に、数々のコンテンツを展開し話題になっている。
ユナイテッドカフェ(世田谷)と宮ヶ瀬ヴィレッジはイベント会社を営む松原さんがオーナーである。松原さん自身も相当なバイクフリークで、ツーリングからレースまで幅広くバイクライフを堪能している。ユナイテッドカフェ(世田谷)も開店当初からいわゆるライダースカフェの枠を超えて、イベントや展示を行い、メディアにも取り上げられる有名店となった。しかし新型コロナウイルス感染症によってユナイテッドカフェは勿論、松原さんの本業であるイベント業も窮地に立たされる。
その逆境を乗り越えるべく松原さんが思案し、絞り出した答えが「ライダーの聖地、宮ヶ瀬ダムに通じるワインディングの入り口に、複合施設を造る」というものだった。松原さんは1000坪以上の土地を入手して、自身の手で重機を扱い土地を整備、施設内の建造物までも手掛けた。完成までは数年を要したが、コロナ渦におけるキャンプブームとバイクブームがまさに追い風となった。
「宮ヶ瀬ヴィレッジは『山あいのドライブイン』というテーマのもと、コロナ禍の2021年夏から約2年をかけて、最初にカフェをオープンさせ、おかげさまでまもなく3年目に突入します。現在は、ツーリングの目的地としてだけでなく、イベントやアート、宿泊やキャンプも楽しめる場所として、日々活動しております。宮ヶ瀬と世田谷、都市型と自然派のそれぞれのコミュニティをつないで、関東圏のみならず、全国のライダーを巻き込み、ストリートカルチャーやバイク、アート、ファッション、アウトドアなど、自由な感性を持っている、次の世代の方々にも、この場所を通して、コミュニティやカルチャーをつないでいければと考えています。今後は、カフェ主催の定例ツーリングや、キャンプミーティングも企画中です」
現在では様々なバイク業界のポップアップやイベントなどが2週替わりで行われている。一般ライダーは勿論二輪業界でも認知され、メーカーとコラボイベントが開催される聖地に急成長しているのだ。カフェ、展示コンテナ、BBQガーデン、イベントスペース、ゲストハウス、テントサイトなど、様々なニーズに寄り添ったサービスを展開。クルマ好きやライダーは元より、その人達のそばにいる人々の嗜好までも視野に入れた、現代ならではのビジネスモデルである。
言うならば「モビリティリゾートもてぎ」がまさにこの複合型施設と言える。「宮ケ瀬ヴィレッジ」はライダースカフェの発展形として、バイク乗りの動線、つまり行動範囲内に同じコンセプトを実現してしまったことになる。バイク+(プラス)という発想。バイクやパーツを売るだけではなく、エンドユーザーの家族・LIFEにまで思いを馳せることも、今後の二輪業界発展には欠かせない。宮ケ瀬ヴィレッジの成功は、それを雄弁に語っている。
くつろぎの時間と開放感を。宮ヶ瀬ヴィレッジ内では、ユナイテッドカフェ宮ヶ瀬店を中心に、様々なコンテンツを展開しています。 のびのびとくつろいだり、仲間たちと集うなど、憩いのひとときをお楽しみください。 各種イベント・ミーティングなども、随時開催しております。
宮ヶ瀬ヴィレッジ | MIYAGASE VILLAGE
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