公開日: 2025/09/05
更新日: 2025/09/17
20年以上にわたり、妻ののぶ江さんと二人三脚でトネガワオートを発展させてきた舎川淳一社長。同氏は整備作業がひっ迫する事態に陥ったことをキッカケに、中古車から新車主体の販売へとシフトを決断し、他店が扱っていない海外メーカーのモデルや逆輸入車を扱うことで差別化を図った。その結果、年間販売台数は約500台にまで伸長。2023年には承継に向けた先行投資として店舗を改築するなど、その卓越した手腕と先見性で、自店の確固たる基盤を築き上げている。
他店との差別化において、ひと目で違いが分かるモノ。それは取り扱いブランド。他店が扱っていないメーカーを扱うことは、店の大きな特長となる。これをまさに体現しているのが、長野県長野市に拠点を構えるトネガワオート(舎川淳一社長)だ。同店ではホンダ・スズキ・ヤマハに加え、複数の海外メーカーのモデルや、逆輸入車も扱っている。詳細については後述する。
トネガワオートは1953年、舎川社長の祖父、佐蔵氏が創業。その後、父親の定雄さんが店を継いだ。舎川社長が二輪業界で働き始めたのは専門学校を卒業した1996年、20歳の時。よく耳にするのは、一度、他の二輪販売店で経験を積んでから家業に就く、という話。けれども同氏は専門学校卒業後、すぐにトネガワオートで働く道を選んだ。
「バイクショップの息子として産まれ、幼い時から『トネガワオート』が身近な存在であったため、中学生の頃には、この店を残さなければいけないのだろうな、と考えるようになりました。ただ、父から家業を継いで欲しい、と言われていたわけではありません。むしろ、大変だから好きなことをやったほうがいいと、言われていました。それでも、私が継がなければいけないという思いから、自分の意志で、整備士資格を取るために専門学校に進学し、卒業後すぐに家業に就きました」
社長に就任したのは25歳の時。家業に就いてから5年というタイミングでの代替わりについて、舎川社長は次のように説明する。
「当時、父は50代前半。承継のタイミングとしてはかなり早いと思います。ただ、父は飲食店も経営していたので、歳をとってからではなく、早く代替わりをしようと考えていたのでしょう。また、私は24歳の時に妻(のぶ江さん)と結婚し、それ以降、彼女は一緒に働いてくれています。妻もこの店を支えてくれていたので、私たちに任せてくれたのかなと思います」
舎川社長が店を継いでから、定雄さんが店にいたのはわずか数ヵ月。その間、舎川社長は営業方針や接客などについて口出しされることはほとんどなく、自分の判断で営業を行っていたため、どんな整備依頼でも断らないようにしていたという。以降、舎川社長とのぶ江さんは、20年以上にわたり二人三脚で店を切り盛りし、トネガワオートを発展させていく。
トネガワオートの年間販売台数は、2019年までは毎年300台前後で推移していたが、コロナ禍によるバイクブームの再燃によって販売台数が急増。2020年から2024年までの5年間は、約500台という数字を記録した。これは安売りではなく、定価販売による実績だ。今年は昨年から若干減少しているものの、販売台数は依然、高水準で推移しているという。
新車と中古車の販売比率は7対3。排気量では、原付二種と軽二輪がともに30%強、大型二輪が30%弱、原付一種が10%となっている。長野市がある北信エリアは公共交通機関が充実しておらず、山間部も多いため、完全なるクルマ社会。また冬になると積雪があることもあり、生活の足としてではなく、趣味でバイクに乗るユーザーが多い。そのため、原付二種以上の販売割合が高くなっている。
冒頭、トネガワオートは数多くのメーカーを扱っていると述べたが、その背景には販売の軸足を新車に移す狙いがあった。二輪車のETCが普及し始めた2005年から、整備台数が加速度的に増加し、2010年には整備作業がひっ迫する事態に陥ってしまったのだ。
トネガワオートは元々、中古車販売を主体としており、2010年までの販売比率は新車が3、中古車が7と、現在とは真逆であった。また整備依頼を断らないようにしていたこともあり、2005年以降は、営業終了後も2人で夜遅くまでETCの取り付け作業などを行う日々が続くようになっていた。このままではユーザーに予定通り納車することが難しくなってしまうだけでなく、2人の身が持たないと危機感を覚えた舎川社長は意を決して、新車をメインに扱う体制へとシフトすることを決意したのだ。
「新車の販売台数を増やすために、既存のホンダ、スズキ、ヤマハに加えて、海外メーカーも取り扱うようにしました。この時、ハーレーやBMWなど、すでに長野県内のバイクショップが扱っているモデルではなく、ニッチなメーカーを扱うようにすることで、他店との差別化を図ったのです。その結果、販売台数を減らすことなく、少しずつ新車の割合を増やすことができました。そして何より、夜遅くまで整備に費やす時間を減らすことにも繋がりました」
現在、トネガワオートは前述の国内3メーカーに加え、プジョー、キムコ、SYM、ランブレッタ、AJSの正規取扱店となっている。また、ホンダ、スズキ、ヤマハの海外モデルも販売。さらに、F・BモンディアルとCFモトの代理店でもある。加えて、8月1日からは「ロイヤルエンフィールド長野」として、同メーカーの取り扱いも開始した。
メーカーの販売台数比率は、ホンダが最も多く25%。次いでスズキが15%、ヤマハが10%で、残りの50%が海外メーカーと逆輸入車になっているという。このうち、よく動くというのがXSR155。この理由について舎川社長は、軽二輪クラスの国内モデルよりも値段を抑えることができ、高速道路に乗れるため人気なのだろうと分析する。
新車をより多く扱うため、他店が扱っていないメーカーを増やしていった結果、ユーザーの需要と見事に一致。トネガワオートの商圏は長野県が大半を占めているが、最近は隣接する新潟県や富山県からの来店も多いという。
新規ユーザーは年間で約600人と、かなりの人数が訪れる。このうち400人が車両購入で、残りの200人が整備依頼となっている。現在は自店ユーザーの車両を優先的に整備しているため、かつてのように全てとはいかないが、よほど特殊な車両でない限りは、新規の整備依頼にも対応している。
長野市は11月~3月までオフシーズンを迎える。トネガワオートでは、オンシーズンは車両販売と整備で多忙を極めるため、オフシーズンにエンジンOHなどの重整備を持ち込みいただくよう、ユーザーにお願いしている。そのため、同店におけるオフシーズンの整備のうち、半分を重整備が占めているという。
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