公開日: 2025/09/05
更新日: 2025/09/17
20年以上にわたり、妻ののぶ江さんと二人三脚でトネガワオートを発展させてきた舎川淳一社長。同氏は整備作業がひっ迫する事態に陥ったことをキッカケに、中古車から新車主体の販売へとシフトを決断し、他店が扱っていない海外メーカーのモデルや逆輸入車を扱うことで差別化を図った。その結果、年間販売台数は約500台にまで伸長。2023年には承継に向けた先行投資として店舗を改築するなど、その卓越した手腕と先見性で、自店の確固たる基盤を築き上げている。
数多くのメーカーを扱うトネガワオートの在庫台数は、一店舗経営としては驚愕の300台。人気のXSR155をはじめ、PCX125やモンキー125などは全色揃えるようにしているが、ほとんどのモデルは1台のみを展示。ただ、取り扱いメーカーが多岐にわたるが故に、在庫台数が増えているのだ。
店内では約80台を展示しており、残りの200台強は店舗から車で2分ほどの場所に位置する倉庫で保管。距離が近いため、店頭に並べられないバイクをユーザーが確認したいという場合には、クルマで倉庫まで案内し車両を見せている。
この倉庫を借りたのは2021年。それまでは、取り扱いメーカーを増やしたことで在庫車両が増加。通路を確保できないほど店内にバイクを所狭しと並べていたが、それでも全てを展示しきれず、店の外にまで車両が溢れてしまうこともあったという。そのため、どうにかしてこの状況を解消したいと考えていた時、タイミングよく近所にテナント募集の物件が見つかり、すぐに契約を結んだ。
倉庫を借りたことにより、トネガワオートは築55年以上が経過していた店舗の改築にも踏み切る。2023年9月から工事を開始し、昨年4月に竣工。工事期間中は、倉庫で営業を行っていた。改築を実施した理由について舎川社長は、承継問題が関係していると語る。
「社長になってから妻とずっと2人で経営を行ってきましたが、その間、夜遅くまで働くなど、大変な思いも多く経験しました。そのため、老朽化した建物が持つまで営業して、その時が来たら廃業しようと考えていたのです。ところが、長男(健太さん)が店を継ぎたい、と言ってくれた。それならばと思い、店舗を改築することにしたのです」
現在、健太さんは大学2年生。卒業後は他のバイクショップで経験を積み、30歳頃に家業に就いてもらう予定だという。舎川社長はトネガワオートの未来のために、先行投資を行ったのだ。
またリニューアルオープンに向け、昨年3月に整備スタッフを1人雇用。また、他の会社に勤めていた長女のあやかさんに手伝って欲しいとお願いをし、家業に就いてもらった。
この改築だが、思いがけない効果をもたらしているという。それは、新規ユーザーが増えたこと。特に女性ライダーの来店が顕著に増加したのだ。
「旧店舗の時は老朽化による見た目のイメージの問題もあってか、女性のお客さんが全くいませんでした。来店したとしても、私たちの知り合いくらい。けれども今では1人で、または女性同士で来てくれている。特に20~30代の若い方が多く、女性の客数は以前の5倍ほどにまで増加しています。外観がキレイになったことで、入りやすいと思えるような店になったのかなと感じます」
改築を行った店舗は、黒を基調としたモダンでスタイリッシュなデザインに仕上がっている。店舗正面に配置された大きなガラス窓からは店内の様子がよく見え、開放的で入りやすい雰囲気を醸し出している。そのため、ユーザーが抱きがちな、「この店は大丈夫だろうか」といった不安感を払拭できるのだろう。
この他、とにかく値段の安いバイクを求めたり、個人売買で購入した手の施しようがない車両の整備依頼を持ち込むようなユーザーの来店が減った、とも舎川社長は話す。リニューアルオープンから1年半という期間であるが、ユーザーに関しては大きな効果が表れているのだ。
ここまでトネガワオートの変遷や販売実績などを述べてきたが、取り扱いメーカーを増やしたことだけが理由で、販売台数が伸びたわけではない。同店の発展には、のぶ江さんの存在が大きいと舎川社長は語る。驚くべきことに、前述の年間販売台数500台のうち、約8割をのぶ江さんが接客から販売まで担当しているのだ。
「妻がお客さんの接客を行い、販売までしてくれるので、私は整備に専念できています。また、妻は子育てがひと段落した2023年に、『3級自動車ガソリンエンジン整備士資格』を取得しているので、お客さんがトラブルに見舞われた時、駆け付けて対応することもできる。妻のサポートがあるから、20年以上にわたり2人で店を回すことができたのだと思います」
トネガワオートにとって、欠かせない存在となっているのぶ江さんだが、彼女の人柄が伝わってくるエピソードがある。多くのユーザーから、〝女将〟と呼ばれているのだ。
取材にも同席していただいたのぶ江さんは、「いつの間にかお客さんから『女将』や『おかぁちゃん』と呼ばれるようになっていました。私たちより年上の人からも呼ばれています」と、笑顔で話す。このように呼ばれるのは、親しみやすさはもちろんのこと、ユーザーとの会話を通じて、心を通わせる能力に長けているからなのだろう。のぶ江さんは、舎川社長にとってだけでなく、ユーザーにとっても頼りになる存在なのだ。
前述の通り、舎川社長は中古車から新車主体の販売店とするため、他店が扱っていないメーカーの取り扱いを増やすことで差別化を図ってきた。この取り組みが功を奏し、トネガワオートの基盤を盤石なものとした同氏は、今後の展望について次のように語る。
「先ほど販売実績は年間約500台と言いましたが、これからはもっとお客さん一人ひとりと丁寧に向き合っていきたい。単に車両を売って終わりではなく、オンシーズンに毎月開催しているツーリングイベントへの参加や、クラスアップ等の乗り換えなど、ユーザーと長く付き合える関係を築いていきたいのです。そうすることができれば、今まで以上に、お客さんが新たなお客さんを連れてきてくれると思う。トネガワオートの輪を、より一層広げていきたいのです」
店舗の改築など、舎川社長は常に未来を見据えて経営を行ってきた。挑戦と努力を惜しまない同氏の背中、そしてのぶ江さんの働きぶりを見ていたからこそ、長女のあやかさん、長男の健太さんは、家業で働くことを決心したのだろう。長年に渡り地域から愛されるトネガワオートの歴史は、彼らの手によって未来へと紡がれていくのだ。
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