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【販売店取材】CROSS PAINT SERVICE 森下純 部長(愛知県瀬戸市)<前編>

公開日: 2025/11/24

更新日: 2025/11/25

愛知県でオートバイ流通などを手掛ける株式会社CROSSは2022年より、二輪車などの商材のリペアと塗装に専門とする新事業「CROSS Paint Service」を開始した。現在は、仕入れた車両のキズや凹みを直してから販売したい、廃盤パーツをキレイにして再利用したい、カスタム塗装をしたい、といった依頼が全国から集中。稼働から約3年半で塗装台数は3400台以上にも及び、その高い技術力は業界内外から高い評価を得ている。

目指すは困った時に頼られる“駆け込み寺”のような存在

2022年4月に完成した新社屋。最新機材も導入し、リペアから塗装まですべて一貫して行っている
2022年4月に完成した新社屋。最新機材も導入し、リペアから塗装まですべて一貫して行っている

愛知県名東区に本社を置く、2001年創業の株式会社CROSS(上野浩孝代表取締役)。同社は創業より行っているオートバイ流通を主軸に、カバンや小物といったブランド品流通、業務効率最大化を図るためのシステム開発など、複数の事業を展開。2022年4月には、複数の作業拠点で行っていたオートバイ事業を集約するため、愛知県瀬戸市に新社屋を建設し、これを機に「リユース事業部」を新設。そして、オートバイをはじめとする商材のリペアと塗装を専門に行う新事業「CROSS Paint Service(以下、CPS)」を開始した。

塗装台数は、2022年4月の稼働から今年8月までの約3年半で3404台。塗装点数は2万8350点にも及ぶ。この依頼件数は毎年右肩上がりで推移しており、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している。そこで今回は、新進気鋭のサービスであるCPSに焦点を当て、その特長や施工事例などについて紹介する。

CROSSが展開するCPSは国産車・輸入車を問わず、オートバイを中心にあ 愛知県でオートバイ流通などを手掛ける株式会社CROSSは2022年より、二輪車などの商材のリペアと塗装に専門とする新事業「CROSS Paint Service」を開始した。現在は、仕入れた車両のキズや凹みを直してから販売したい、廃盤パーツをキレイにして再利用したい、カスタム塗装をしたい、といった依頼が全国から集中。稼働から約3年半で塗装台数は3400台以上にも及び、その高い技術力は業界内外から高い評価を得ている。リペアと塗装を専門に行う「CROSS Paint Service」目指すは困った時に頼られる“駆け込み寺”のような存在らゆる分野のリペアと塗装を行っている。このサービスを始めた理由について、リユース事業部部長の森下純さんは次のように説明する。

「CROSSでは、2022年以前から自社で扱う車両のリペアと塗装を行っていましたが、現在のような設備はありませんでした。ただ、キズや凹みを修復したり、劣化した廃盤パーツを塗装で再生したりするリユース事業は、中古商材に新たな価値を付与することができる。そのため、社長の上野は鈑金塗装業にビジネスチャンスがあるのではないかと、前々から考えていました。そこで新社屋の完成を機に、リユース事業部を新設するとともに、最新の機材を導入。二輪販売店をはじめ、個人のお客様からも依頼を受けられる体制を整えました」

750SSカスタム塗装
750SSカスタム塗装

現在、CROSSには多くの受注があるが、サービス開始時から順調であったわけではない。当初はサービスに対する認知度そのものが低く、依頼件数も限定的であり、またカスタム塗装に必要な車両のカラーデータも不足していた。こうした問題が障壁となっていたのだ。

「サービスを開始してからしばらくして、以前から社長が知り合いであった、旧車や絶版車を扱う二輪販売店に協力を仰ぎました。これにより、Z1やZ2などの純正タンクやサイドカバーをお借りすることができ、カラーだけでなく、文字の太さやフォント、ラインの太さといった、あらゆるデータを取らせていただきました。現在CROSSでは、パーツをお借りした二輪販売店が扱う車両の塗装を行っています。また営業を行うなかで、認知度も徐々に向上。複数の二輪販売店からも協力を得られるようになりました。いまでは知り合いを通じて、個人のお客様からもデータ収集のために車両やパーツをお借りしています。皆さんの協力があってこそのCPSなのです」

その結果、現在では膨大な数のカラーデータを保有。多岐にわたる車種のリペアやカスタム塗装に対応できるようになったのだ。

依頼件数や顧客満足度などすべてにおいて“日本一”を目指す

調色はデジタル計量器を使用し、0.01g単位で実施
調色はデジタル計量器を使用し、0.01g単位で実施

CPSの大きな特長は、揮発性有機化合物(VOC)を約92%カットした“水性塗料”を導入しているところにある。この塗料は環境や人体への配慮だけでなく、透明感と発色の良さにより、純正色の再現性やカスタムペイントの表現力を大幅に高めるという。実際に、「SDGsをPRしたい」といった企業からのデモ車製作や、ショールーム展示用のカスタム塗装依頼が増加。「発色が想像以上に鮮やかで、新車以上に輝いて見える」といった、感想が寄せられている。

CROSSではCPS稼働時より水性塗料を使用しているが、この理由について森下さんは、次のように述べる。

「日本ではまだ法規制はありませんが、ヨーロッパではすでに溶剤塗料の使用が法律で禁止されています。CROSSは依頼件数や顧客満足度など、すべてにおいて“日本一”になることを目指しています。この目標を達成するためには、他社に先駆けた行動が必要であり、二番煎じでは意味がありません。塗料メーカーからは、水性塗料を二輪業界で仕入れるのはCROSSが初めてだと言われました。水性塗料は四輪業界でも、まだあまり普及していません」

森下さんは30年以上の塗装歴を持つベテラン。以前は四輪の鈑金塗装会社に勤務しており、水性塗料の使用歴は20年にも及ぶ。

カラーデータがない車両に関しては、現物から調色を行う
カラーデータがない車両に関しては、現物から調色を行う

CROSSでは水性塗料だけでなく溶剤塗料も導入しており、それぞれ約100種類、約130種類もカラーを揃えている。これらの塗料は沈殿や分離を防ぐため、塗料缶一つひとつに撹拌機を24時間使用。また水性塗料に関しては、気温の低下によって凍ってしまうのを防ぐため、サーモスタットで温度調節を行うなど、徹底的に管理している。

この水性塗料だが溶剤塗料と比べ、乾燥に大幅な時間を要する。そのため、温度調整や喚起機能を備えたスペイン製の大型塗装ブースも完備。クルマ1台が余裕で入るほどの広さを誇る同ブースでは、静電気を防ぐ塗装服を着用して作業を行っている。

またCROSSでは、車体にカメラを当てることで塗料のカラーコードを識別する機材も導入。このデータを基に、デジタル計量器を使用して0.01g単位で調色を行っている。さらに、自社で開発した基幹システムを使い、前述のカラーデータや依頼内容をデジタルで保存することで、DX化を推進。森下さんは「最新の機材はクオリティを追求するだけでなく、効率化を図る上でも欠かせない」と語る。

後編はコチラから!!




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CPS クロスペイントサービス|バイク・自動車の塗装・カスタムペイント

あらゆる塗装に対応する最新鋭の機材と職人の調色技術によりあらゆる分野のリペアと塗装・カスタムペイントが可能です。Z1やZ400FX、ZRX400などの車種をはじめ、国産・輸入車を問わず、オートバイ、バイクを中心に幅広く対応します。短時間の仕上げからクオリティ重視の徹底的な仕上げまで、お客様のニーズにあったサービスをご提案いたします。

CROSS PAINT SERVICE(クロスペイントサービス)

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