公開日: 2026/06/19
更新日: 2026/06/26
大阪府と奈良県に8店舗を展開する八尾カワサキ。経営の舵を取る加藤宏社長は、カワサキプラザ大阪鶴見の店長も務める傍ら、各店舗に足繁く通い、現場の声に耳を傾けることで、潜在的な課題やスタッフの悩みなどをいち早く察知。この現場第一主義の姿勢を通じたスタッフの労働環境改善や育成への尽力が、組織として盤石な体制を築き上げている。
前述のように、カワサキプラザの立ち上げに奔走した加藤社長。2024年の社長就任後、まず着手したのはスタッフ同士の繋がりをさらに深めること。八尾カワサキでは、ユーザー向けのイベントだけでなく、スタッフ限定のツーリングやモトクロスなども定期的に開催している。
「店舗運営で重要となるのは、現場の雰囲気。スタッフが互いに気兼ねなく意見を交わせる関係性を築ければ、自ずとチームワークは強固になる。また、バイクに乗る楽しみをお客様に提供するのであれば、スタッフもバイクライフを楽しむべきだと考えています。そのため、共通の趣味であるバイクを通じて、交流を図って欲しかったのです」
このように、スタッフの労働環境改善に注力する加藤社長。その姿勢は日々の業務にも表れている。同氏はカワサキプラザ大阪鶴見の店長も務める傍ら、毎週カワサキプラザ堺と東大阪、そして毎月、八尾カワサキ本店とホンダヤオ/ベスパ大阪東に足繁く通う。そして、現場の声に耳を傾けることで、潜在的な課題やスタッフの悩みなどを汲み取っているのだ。この現場第一主義の姿勢こそが、迅速な問題解決と、強固な信頼関係の構築に繋がっているのだろう。
他にも八尾カワサキでは、スタッフの採用において特筆すべきことがある。人手不足が深刻化する二輪業界において、毎年2~3人、新卒社員が入社しているのだ。同社では整備士専門学校が開催する企業説明会へ出展するなどして、学生への接点を積極的に増やしている。
また採用だけでなく、入社後のフォロー体制が手厚いのも特長だ。八尾カワサキでは「メンター制度」を導入しており、3ヵ月間にわたり先輩社員が新入社員の相談役となり、定期的に面談を行いながら業務に関するサポートを行っている。この期間はどんなに些細なことでも質問を受け付けており、先輩社員による𠮟責は厳禁。また、新入社員の面談は一週間ごとに行い、作成されたレポートは加藤社長へ届けられる。
「入社したばかりの頃は、誰しも不安を抱えていると思います。だからこそ、しっかりとサポートをしていきたい。何より重視しているのは話しやすさ。まずは気軽に話せる関係を築いて欲しいのです」
先輩社員が真摯に向き合ってくれているため、新入社員は短期間で驚くほど成長している、と加藤社長は目を細める。
ここまで、スタッフの労働環境改善や育成の取り組みなどについて述べてきたが、加藤社長は彼らに求めていることがある。それは、自ら課題を見つけて行動に移す、“主体性”を持つことだ。
八尾カワサキでは毎月、全店舗の店長が参加する会議を実施。そのなかで、各店長から「良かったこと」「新たに取り組んだこと」「もう少しできたこと」の3項目を報告してもらっている。ここで加藤社長が重視しているのは、課題に対する向き合い方。単に何々ができませんでした、という報告で終わらせるのではなく、なぜそうなったのかといった要因分析や、具体的な改善策を提示するよう指導。これにより、スタッフが主体的に考え抜く意識付けを行っているのだ。
「主体性がないと、人との付き合いが悪くなり、自己成長も停滞してしまうと思います。私は主体的に行動した結果、たとえ会社に損失を与えてしまったとしても、それをとがめるつもりはあまりありません。むしろ、その経験から何かを感じ取り、変わってくれることに期待したい。主体性は、その人の伸び代だと考えています」
そんな八尾カワサキの経営の根幹にあるのは、「志を高く八尾カワサキは、バイクライフを提供し、社会に夢を与え、二輪業界の地位向上を目指すと共に成長し発展する(原文ママ)」という経営理念だ。また同社では、「お客様に尊敬される企業」「従業員が誇れる企業」「社会に認められる企業」「パートナーに愛される企業」という、4つのビジョンも設定。これらを毎朝の朝礼で唱和することで、スタッフ一人ひとりの意識への浸透を図っている。
また上記のビジョンにもあるように、地域の祭りへの参加といった社会活動をはじめ、百貨店などへの車両展示も行っている。昨年開催された「EXPO2025 大阪・関西万博」では、ピアッジオグループジャパンからの要請により、ベスパGTV300を提供。イタリアパビリオン内に期間限定展示された。これらの活動を行う理由については、一人でも多くのユーザーに、バイクのカッコよさや魅力を知ってもらう機会を増やしたいからと話す。
経営者として優れたリーダーシップを発揮している加藤社長。今後の課題については、自分自身にあるという。
「社長に就任して痛感したのは、自身の判断が業績を伸ばすこともあれば、低迷させてしまうこともあるという、責任の重さ。いまは時代の変化が非常に速い。常にアンテナを張り、情報を得続けなければ、取り残されてしまう。また物事を俯瞰し、本質を見極めて判断する力をもっと磨くべきだとも感じています。スタッフとともに、私も成長し続けることが必要不可欠なのです」
現状に驕ることなく、危機感を持ち続けている加藤社長。物腰柔らかな方ではあるが、言葉の端々からは揺るぎない信念が伝わってきた。来年、創業50周年という大きな節目を迎える八尾カワサキ。同氏のリーダーシップのもと、より一層の業績拡大を果たすであろう同社の姿がはっきりと予見できた。
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